植物は匂いを嗅いでいる

植物は、こういうふうに見ている
に続く第二弾

匂いを嗅ぐ
「見ている」の時と同様に
鼻だってないわけだから、動物と同じ感覚で匂いを嗅ぐ、事は不可能です。
ただ、限定的であれ、近い機能を持っている

古くから、まだ固いアボガドの実を柔らかくする方法は伝わっている
熟したバナナと一緒に、茶袋に入れておけば良い

古代エジプト人はイチジクの実を収穫した後、2~3個の実に傷をつけておけば
残りの実全てが熟することを知っていた。

古代中国では、まだ固い梨の実を入れた倉庫で、
お香を焚くという儀式をして実を熟させていた。

なぜ?

20世紀初頭、フロリダで、倉庫に保管した柑橘類を
石油ストーブで暖め、熟する事を促していた。
ある時、それを電気ストーブに変えてみると
ちっとも熟さない。

えっ、気温によって熟するんじゃないってこと?

この謎が、1924年に、フランク・E・デニーによって解明された。

石油ストーブの煙に、エチレンというガスが僅かに含まれている。
純粋なエチレンガスにさらすと、
どんな果実でも熟し始める事を発見した。

中国のお香にも、エチレンガスが含まれていたのです。

繋がりましたね
もう少しです。
アボガドとイチジクが残っています。

1930年代、リチャードゲインや、ボイストンプソン研究所によって、その謎も解明されました。

熟している果実は、エチレンガスを放出している。

面白いのは、「老化」の時に放出するものだということ
葉っぱが紅葉したり、実が熟したり。

そのガスを嗅いで、じゃあ私もと連鎖反応を起こしていく。
結果として、辺り一帯の実が、植物の種類に関わらず、一斉に熟することになる。
鳥とかは好都合ですね。
「あの辺り」に行けば良いわけです。

商店が集まって商店街になろうという発想。

寄生植物
アメリカネナシカズラは植物なのに葉っぱがなく、緑色をしていない。
光合成が出来ないのに、どうやって生きていくか

他の植物にまとわりついて
管を突き刺し、養分をすいとる。

アメリカネナシカズラにも種があって、種から芽が出る
芽はずんずん伸びて獲物を探すんだけど
一方向にだけ伸びたんじゃ、そこに獲物が無いとき一巻の終わり
ぐるんぐるん回りながら探す。
暗闇で蛍光灯の紐をたぐり寄せる時のように。

ただ、好き嫌いがある
同じ距離に、トマトと他の植物があったとすると、確実にトマトの方に伸びる

なんで分かるんだろう

植物学者、デ・モラエスは、トマトの匂いを嗅いでいるんじゃないかと仮説を立てた。

間に透明な板を立てるとトマトの方に行かない
見えないついたてを立てても、穴を開けると穴の方に向かう。
トマト自体ではなく、トマトの匂いを発する香水を置いても同じ結果。

「当たり」だ

かなり複合的な物質の匂いの組み合わせに反応している事も分かった。
トマトの匂いの主成分はベータミルセンという物質
ベータミルセンだけでも引き付ける事は出来るのだが
同じベータミルセンを主として発するコムギでは見向きもしない
コムギはさらにZ3ヘキセニルアセテートという物質も発している
それがベータミルセンの効果を打ち消すらしい

気をつけろ?
ワシントン大学のデヴィッド・ロウズとゴードン・オライアンズは不思議な現象を見つけた。
毛虫の襲撃を受けたヤナギの木のすぐ近くにあるヤナギの木の葉には、あまり毛虫がついていない。
さらに、離れたヤナギにはやはり毛虫がついている。

毛虫がついていないヤナギの葉にはある物質が含まれていることも発見した。
毛虫が嫌がる物質を作り出したように見える。

様々な実験が繰り返された。
そして、ある匂いが発せられていて、それに反応することが分かった。

その結果が発表されるやいなや、世の中は騒然となった。
新聞はこぞって取り上げ
「植物は会話している」との見出しが踊った

取り上げられかたがエスカレートし過ぎたため
学会ではその信憑性について疑問が提起され、一旦沈静化する

でもそれから時代が過ぎ、追認する研究発表が出てくるようになってきた。

今のところは、「気をつけろ」は自分の植物内である可能性の方が強い

動物にもある免疫的な作用が起こり、植物内を駆け巡って、防御を図る
その時に、ある匂いが出てしまう。

その匂いを、他の植物が盗み聞きするように「盗み嗅ぎ」して
自らも防御体勢に入る。

もちろん、今後の更なる研究で
他の植物に対しても積極的に知らせている、という発表がなされるかも知れません。

索引はこちら
[植物]シリーズはこちら(少し下げてね)


シデコブシ

花カレンダー始めました

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です