植物は接触を感じている

植物の感覚のシリーズです。
目、鼻、ときて、手と言うか肌と言うか、今日は接触というところです

接触
動物と違って、植物は何かを触りに行くということは不可能です。
常に受け身。

外からの物理的な刺激に対して、何らかの対策を打つ
そういう意味での触覚は存在します。

つる
一番身近に多いのは、つる性の植物
何かに巻き付いて伸びていくため
その「何か」を発見する必要があります。

例えばアレチウリ

ヒトの10倍もの敏感さで物に触ったかを感知できる。

ヒトは重さ2グラムの繊維でないと、指先で触覚を感じられないが
アレチウリのつるは、0.25グラムの繊維にも反応し
それを合図に近くにあるものに巻き付く。

なるほど、植物にもヒトと同じように触覚があるんだ
と思うのはまだ早い。

ヒトの触覚は色んな事を感じる
痛い、こそばゆい、ぬるぬる、熱い、等々
脳があるので、伝わった刺激が「主観」を作り
その主観に基づいて、手を引っ込める等の行動に繋がる

植物の場合は、脳がないので、あくまでも目的のためだけに存在する。
あるなしさえ分かれば良いという場合は、それ以外には何も分からない。

ハエトリグサ
触覚が高度に発達している代表例に、ハエトリグサがある

葉っぱの間に、虫が入ればパクッ

動物ならば結構普通の事だけど、良く考えてみると、植物
なんでそんなことが可能なのか

かの有名なダーウィンが、興味を持った。
どういう仕組みなんだろうと、色々実験

雨(水)を当てたり、強い風当てたりしても反応しない。
さらに分かってきたのが、大きすぎても小さすぎても反応しない。

獲物だと分かるということは、タンパク質の固まりはどうだっ
ちょうど良い大きさに切って、これなら反応するだろう。

えっ、反応しないの?

順序立てて説明しましょう。

まずは、どこで触ったことを感じるか
下の写真を見てください。
ピンク色のところにトゲのようなものが、ぴっぴっと出ているのがお分かりいただけるでしょうか

ここで感じます。

でもひとつのトゲだけじゃ反応しないんです。
ひとつに触ったあとに他のにも触る
これで大きさを判断するんです。

でも不思議ですね
だったら、ちょうど良い大きさのタンパク質にも反応する筈

実はこの答はダーウィンよりずっとあとに解明されました。

虫などの動物とタンパク質の固まりは何が違うのか
その理解のためには、伝達の仕組みの解明が必要でした。

ひとつに触った「あとに」と言いましたね
ということは、ひとつめに触ったということが、伝達されていないといけない
この仕組みは動物の神経の仕組みに実に良く似ていた。

神経の中を伝わっていくのは物質ではありません。
電気信号です。
ある場所で発生した微弱な電気が連鎖しながら伝わっていく。

植物内で、情報が伝わっていくのも仕組みはかなり似ています。

さあ、先ほどの疑問に戻りましょう。
動物とタンパク質の塊の違い。

動物はトゲに触った時点で、チクッと感じます。
そこに電気信号が発生します。
痛いぞ気をつけろ

この電気信号がハエトリグサにも伝わる。
そのまま、その電気信号がハエトリグサ内の他の場所に伝わっていく。
だから、ハエトリグサはそこに動物がいて、ちょうどいい大きさであることに気づくんです。

では、次の疑問
ハエトリグサには筋肉が無いのに、どうやって口を閉じられるんでしょう。

この答は、後のオジギソウの研究によって解明されました。

植物の細胞って、ほとんど水分の中身の外を堅い壁がおおっている
水がぱんぱんに入っているときは、シャキッとするが、水が少なくなるとしわしわで萎む
オジギソウやハエトリグサの動く根元のところに、
電気信号によって、水を素早く、出入りさせられる細胞が固まっているんです。

触られるストレス
こんな特殊な植物でなくても、一般的な植物にも触覚があります。

例えば風の強い環境だとします。
植物は風を感じて、枝を長く伸ばす事をやめます。
その分のエネルギーを幹や枝を太くすることに回す。
こじんまりと風の抵抗を受けにくく、かつ折れにくい頑丈な体に変える。

このように、基本的に植物は触られると、成長を止める方向にして危険を予防する。

ある植物で、ある科学物質がどういう影響を与えるか調べようとした。
葉っぱに、その栄養を多く含んだスプレーを毎日毎日吹き掛けた
さぞや大きく育つだろうと

ところがあろうことか、枯れてしまったのだ。

変だなあ。
濃度が強すぎたのか

真水から、いくつかの液体を用意して、毎日同じようにスプレー
すると驚きの結果が。

どの濃度も同じように枯れてしまったんです。

分かったのが、スプレーされるというその触覚ストレスに耐えられなかった。

ある学者は、ある花の成長を細かく観察しようと、毎日定規を当てて、大きさを図った
これもまた、枯れてしまったんです。

索引はこちら
[植物]シリーズはこちら(少し下げてね)


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