不動明王の見極め方

不動明王という本を読みました。

なんで怒っているの
ウォーキングしていると、不動明王(お不動さん)がいかに人気があったか分かります。
それが仏教の良いところかなとも思います。
ひとりのヒーローだけじゃなく、いっぱい役者が揃っている。
釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来、薬師如来、観音菩薩、弥勒菩薩、地蔵菩薩、不動明王
さらには七福神等々、いっぱいいる。

そんな中でも、不動明王って異色だなあと思う。
仏様は慈悲深い笑みの表情。これは分かります。
ありがたやぁ、って気がします。

なんで不動明王は怒っているんだろう。
ランク的には、如来、菩薩、明王、天、と3番目なのに、なぜそんなに人気があるんだろう。

この本を読んで少し分かった気になりました。

空海
スーパーヒーロー、空海によるところが大きいんですね。

唐に渡ったとき、仏教のうち、密教の第一人者、恵果に自分の後継者だと指名され
全てを伝授されて帰ってくる。

密教って、お釈迦様が始めた仏教に対して
元々庶民の間で広まっていた、様々な信仰の要素が強く混じっている。

お釈迦様の教えって哲学的に「良く生きる」事だったり、悟りを拓く事だったりを目的とするけど
庶民の信仰はもっと身近に
〇〇ができますように、という願掛けだったり
チチンプイプイ痛いの痛いの飛んでけー、というおまじない(呪文)だったりする。

そういう実益?を重視した密教は貴族の間で引っ張りだこ
病気、天災、反乱等政治がうまく行かない理由は、全て怨霊の仕業と信じられていたので
怨霊退散を呪文や護摩焚き等の儀式で不動明王の前で行う
不動明王は、空海の真言宗で最高の仏である大日如来の一面ととらえる。

ただ、真言宗だけだったら、それほど不動明王も広がらなかったかも。

最澄(天台宗)と空海(真言宗)で言うと、密教を広めたと言う事では空海の方が一歩リードするのだけど
天台宗も巻き返し。
円仁が唐へ渡り、密教を極めて帰ってくる。
天台宗は人材豊富ですから。

真言宗の東密に対して天台宗は台密
霊験競争が繰り広げられる。

見方
まずは基本パターンを押さえましょう。

弁髪というのを今回はじめて知りました。
おさげ髪。左手側に肩までたらしています。
可愛いかも。

様式
大きく二つの様式があります。
■大師様(だいしよう)
空海(弘法大師)や円仁(慈覚大師)が日本に不動明王を持ち込んだ頃の不動明王
密教の「大日経」では醜悪な姿として不動明王が描かれているんだけど
国家鎮護の仏像としては若干の遠慮
多少穏やかな形で描かれた。
■十九観
それから100年ほど経って
いやダメでしょう、遠慮しちゃってことで
十九のルールを定めた。
今残っている不動明王はほとんどこっちのタイプ。

では、それぞれどこが違うのか見ていきましょう。


大師様は総髪(オールバック)。頭の上に蓮華を乗せていたりする。
十九観は巻き毛


大師様は多少穏やか。上の歯で下の唇を噛んでいる。出っ歯って感じ。おさげはくくってある。
十九観は怒り爆発。口はへの字で牙が下から出る。目は天地眼と言って右はがっと見開いているのに左は閉じ気味。ウィンクしたいのかな。おさげはネジネジ。

総じて、大師様の代表的なのがこれ

十九観の代表的なのがこれ

[仏像の見分け方]シリーズはこちら(少し下げてね)

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