火花を読んで

火花良かったよ
土曜日、ウォーキングの仲間と雑談しました。
その中で
火花読んだけど私は面白かったよ。
独特の世界観があって良かったよ。
と聞きました。
ずっと気になっていました。
関西人として「読むべき」小説でもあります。

よしっ、読んでみよう

好きだわ
私が好きなタイプの小説です。
村上春樹も好きですが、村上春樹が好きな人は好きになるかも。
小説について詳しい訳ではないので、めったに小説を読まない、単なる平凡な読者の一感想として聞いてください。

題材
題材が、ある種「反則」に近いほどの題材。
普通の文章ではない、若干の冒険的、はみ出し的な言い回しで独特の世界観を作っていくわけでしょうけど、「漫才」という題材は、これ以上ないでしょう。
そう来るか、的なことが、笑いのためという筋が通っているために、かなりの納得感を得られる。
この理屈っぽさで、お客さんは本当に爆笑するのかなという単純な疑問はありつつも、
関西から東京に出てきていることで、いけるかも、的な範疇に収まっている。

ここええな
基本的には、主人公と、その敬愛する師匠(神谷さん)とのやり取りでずんずん進んでいく。
随所に、ここええな、と思えるところがある。

雨が降ってきたので喫茶店のマスターが傘を貸してくれる。
これしかないのですが、返さなくていいので。
その気持ちに感激しつつ、傘をさす
しかし、次第に小やみになり、結構すぐにやんでしまう。
気づくと、2人だけが傘を差し続けている。
神谷さんが、空に向かって
「どのタイミングでやんどんねん。なあ?」

関西人的価値観
関西人は漫才師ではない一般人でも、「うけてなんぼ」と思っている。
経済的な成功等の人生における成功がもしなされないにしても、うけたらそれでよしという価値観を持っている。
本来の失敗が、その失敗を笑ってもらえることで、「うけたんやからええやん」と成功に転じる。
救いの哲学。
私は、宗教的とも言えるほどのこの価値観が大好きで、東京に来てからも「関西人」を名乗り続けている。

設定が漫才師なので、「うけること」と人生の成功がイコール。
若干のニュアンスの違いはあるものの、展開される「変わった行動」に納得性が強くある。

酔いつぶれた主人公が寝ている布団を彼女と一緒に日差しの強い窓際に移そうとする。
徳永の顔面にブラックジャックみたいな日焼けあと、作ろっと
気づいた主人公が
それの、何が面白いんですか

行動基準はおもろいかどうかにある。
大人的いちびり

クライマックス
成功するんか失敗するんかは、読んでのお楽しみにしておくとして、最後にとんでもないダメ押しがある。
うけたらええやん。
むっちゃ唐突感はあるんだが、これが芥川賞なのかもしらん。

自信あるんやろなあ
最初にこんなん出してもうたら、あとどうするんやろ。
一番の得意分野。

私のコラムで言うと「千川へは行けません」を最初に出したようなもの。
(それが最高かいっ)

でも、逆に自信の表れのような気がした。
もっともっと引き出しがあるのだろう。

こんなん、序の口でっせ
みたいな

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