[ことば日本史]立ち往生

「ことば日本史」平安時代から

立ち往生
壇の浦の合戦で平氏を滅ぼした源義経
意気揚々のはずだった

ところが、兄、頼朝の怒りをかい、今度は追われる身となってしまった。
追跡を逃れての旅路のはてに、奥州藤原秀衡(ひでひら)のもとをたよる

わしに任せておけ

ところが秀衡が亡くなると、息子の泰衡(やすひら)は頼朝を恐れる
父さんとの約束なんて知りませーん

ついに義経のいる衣川の館を攻める。

襲撃を受けて、義経の郎党らは奮戦するも、次々と討ち死にしてゆく。

まだ彼がいる!
武蔵坊弁慶

最期までを義経守るべく、敵に包囲されながらも、
なお縦横無尽に敵を斬り、突き、刎ね、狂ったように暴れまわった。

正面から弁慶と戦える者は誰もいなかった

弁慶には無数の矢が立っていたが、折り曲げ折り曲げするうちに、
まるで色とりどりの簑をまとっているかのよう

みな討ち死にしたというのに、この法師だけは、どんなに矢を受けても死なないとは
なぜだ、なぜなんだ

とうとう怖くなった敵どもが神に折りだした頃、
弁慶は薙刀を地に突き、敵をにらみながら仁王立ちに突っ立った。

そして一声、笑った。

おおっ、恐ろしや
化けもんじゃあ
ただごとじゃない。近づくな

ただ、動きはしない。
どういうことだ

ひょっとして

一人の若武者が、かろうじて馬でそばを駆け抜けてみたところ、
馬にぶつかって、弁慶が倒れた。

死んでいた

でもなお、まだ戦わんとの形相
恐る恐る近づく

このすさまじく勇壮なる死にざまが「立ち往生」

でも不思議ですね
身動きとれずにあたふた、みたいな使い方します
弁慶に申し訳ない

武蔵坊弁慶
どうも存在自体怪しいらしい
物語の中で、伝説がどんどん膨らんでいき
超人気者に

[ことば]シリーズはこちら(少し下げてね)

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