[迷信]お寺の鐘などについている「緑青」には毒がある?

「科学で読み解く迷信・言い伝え」シリーズから

緑青(ろくしょう)
かなり長くほおっておいた10円玉に、緑色の緑青がつくことがあります
要するにさび

お寺の銅板葺きの屋根に出た緑青は実に味わい深い

鎌倉の大仏さんも緑です

二酸化炭素、水分にさらされた銅の表面には、緑色のさびができる。
それが長い時間を経ると、もとの銅色を覆い隠すほどになる。
水や酸には溶けないので、それに覆われている内部の銅は腐食しにくくなる。
古墳などから出土する青銅器は、もとの色が緑に覆われているために、といわれるが、
そのおかげで腐食してボロボロになることなく現在に至っている。

有害?
緑青は有害?
そう信じている人も多いようです。

結論から言うと、無害

厚生省(当時)では、1981年から3年間にわたり、
国立衛生試験所(当時)、国立公衆衛生院、東京大学医学衛生学教室による研究を行い、
緑青は無害に近い物質であることを証明した。

1984年には公式に「緑青は無害である」ことを発表している。

ただ、無害に近いといってももともと食用の規定で測っているわけではない。
食物でない以上はむやみに口にするものではなく、
ほかの重金属との毒性を比較したときに同レベルの値でしかないということだ。
ペロペロなめる人はいないとは思いますが
触っちゃったからといって、すぐに手を洗わなきゃいけないってものではない

なぜこのような誤解が生まれたのかは定かではないが、
昭和40年代までの小学校の理科の教科書にも「緑は有毒」だという記載がある。

毒々しい、という気がすると、どうにもそう見えてしまうんだろう

そもそも緑青は水に溶けにくいので、それを取り込んだところで
人体に吸収されて影響を与えることは考えられない。

日本の義務教育は全国にあまねくその恩恵を与えている一方で、
その過程で学んだことが時代を経てくつがえっても、
それまで得た知識をアップデートすることがむずかしいと言える

[迷信]シリーズはこちら(少し下げてね)

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