幸せの国、ブータンでは仏教をかなり強くみんなが信心しています。
そんなお国柄なので、「ブータンに魅せられて」の著者、今枝さんには見えないのに、ブータンの人たちにだけ見えるものがあるんですって
正確に言うと「見えないけど分かるもの」なんだけど
チュメー川の魚
今枝さんが顧問をつとめる国立図書館の館長、ロポンペマラさんとスンゲ村というところに行った
チュメー川にかかる吊り橋を渡る
ロポンペマラさんは、懐から小さな布袋を取り出して、呪文を唱えながら川に粉を散布
何をしているのか訪ねると、魚に餌をやっているのだという。
その時は、それほど気にも止めなかったが、何度か通る度に同じことをするという
気になって川を眺めても、魚がいる様子がない
ブータンの仏教では、殺生、特に魚を取ることを嫌う。
だから、魚にとってみれば天国みたいなもので、どこの川でもかなり多くの魚がいる。
チュメー川には不思議なくらい魚がいない
ロポンペマラさんに訪ねると、ある言い伝えを教えてくれたんだと
言い伝え
チュメー川のほとりにたいそう立派なお坊様がやって来た
ふとみると、みんなが魚釣りをしている。
殺生はいけないと説いたがやめようとしない。
何度言ってもその状況なので、そのお坊様は仏の力を借りて、
魚を見えないようにしたらしい
おかげで、魚にとっても、みんなにとっても良くなった。
地域の人たちは、チュメー川の魚が、「いるのに見えない」ということを、
たいそう誇りに思っているらしい
今枝さんからすると、川の水は澄んでいるのに、魚がいないちょっと面白い川に過ぎない。
ブータンの人たちからすると、とても有難い川