藤山寛美と博多淡海と木村進

飲み会の時、全員が博多淡海(はかたたんかい)を知らなかった。
ショックだった。

ということをこの前のコラムで書きました。

福岡の伝説のヒーローであるはずの博多淡海

仙台で言うと仙台四郎の様に
福岡では、神様的に思われているのではないか
額に入って飾られているのではないか

勝手な思い込みをしていたのかも知れない。

ひょっとすると、博多淡海は関西人の方が馴染みが有るのだろうか

博多淡海と言えば、まずは藤山寛美から話す必要が有るでしょう

吉本新喜劇
関西人は吉本新喜劇を見て、育っている
良い悪い、好き嫌いのレベルを超えている。

日曜日はあれしか見る番組がない
ほんわかほんわ、ほんわかほんわか、ほんわかほんわかほん

あまりにもワンパターンで、どうにかしてよとは思うけど笑ってしまう。
我々の世代だと、岡八郎、花紀京、船場太郎(せん、ばたろう)

むちゃくちゃ面白いのだけど、
こんなのばかり見て自分の脳みそは大丈夫だろうかと
漠然とした不安がある。

母さんが
家に帰ったら、母さんが泣いている

どないしたん、何があったん

どないもこないも・・・

見ると、テレビで藤山寛美。

下品だらけの関西人に、
上品な高級品をもたらしてくれるのが、藤山寛美の松竹新喜劇。
関西人の脳みその救世主。

藤山寛美はアホのでっちどん
アホが故に純粋で
思ったことをストレートに言ってしまう。
人の嫌なところを何一つ持っていない。
寛美が鼻をほじくりながら話す話し方
これぞアホだと思わしめる細かい所作の完成度。
泣きと笑いが一緒にどっと押し寄せる
文字通り「泣き笑い」の真骨頂。

関西人にとって、なんでアホが誉め言葉かというと藤山寛美がいるから。
アホは生き方の最高傑作だと分かっているから。
押し付けがましいところ全くなく、人の道を教えてくれる。
そんな、お釈迦様のような存在がアホ。
藤山寛美のアホ。

ところが難がある。
素晴らしすぎるんです。
吉本のように肩の力を抜いて、見られない。

桂米朝が人間国宝なのは納得です。
100%異論はありません。
でも、であれば、藤山寛美が人間国宝でないのは、
片手落ちじゃ無いでしょうか

泣いて笑うぞと、気合いを入れる必要がある。
人間国宝級の芸を噛み締めねばなりません。

そして、藤山寛美がスーパースター過ぎた。
松竹新喜劇で藤山寛美以外の役者の名前をどうにも思い出せない。

博多淡海
おそらく、素晴らし過ぎるが故の2つの弱点に、
藤山寛美自身が、もがき苦しんでいたのかもしれない。

ある日、松竹新喜劇を見ていると、
初めて見る人が出ていた。

おばあちゃん役。

博多淡海だった。

ビックリした。
解決した、と思った。

初めて見るこの人は、
でっちどんのアホを
おばあちゃん役で完成させている。

吉本よりは松竹なのだけど
あまりにすごすぎる藤山寛美ほどは気合いを入れなくていい。
脳みそにはとても良い具合。

博多淡海、言葉も違う。
関西人じゃないんだな。

聞けば、福岡で既に人気のある役者を迎え入れたとのこと
日本は広い。

やるじゃないか、福岡。
面白ければ福岡も又よし。

ただ、長くは続かなかった。

木村進
木村進は吉本の芸人。
岡八郎や花紀京の黄金期の
次の世代のこれまた黄金期

何と言ってもスーパーヒーローは間寛平
ほんとにすごかった。
寛平ちゃんの全盛期。
関西以外の人は分からないでしょうね
寛平ちゃんも他の芸人がそうしたように
関東に進出して、面白さを抑えた。

おそらく、イメージとしては
時々、アヘアヘとか、かいーのとか言っているけど
特に面白い訳じゃない。
マラソンの人。

悔しいけど、面白さを全面に出すと逆に浮いちゃう
回りがお約束の応酬をやってくれないと、
うるさいだけの印象になって
すぐに関西に帰っていく。
仕方ないのであの寛平ちゃんでさえ、東京では面白さを抑えた。

でも、面白かったんですよ。
寛平ちゃん
腹抱えて笑いっぱなしだった。
ギャグの量がものすごかった。

その寛平ちゃんを横から支えたのが木村進。

木村進は博多淡海の息子さん。
親の七光りが嫌で、親の承諾を得ず
松竹のライバルであるはずの吉本入り。

完全に実力で
天才寛平ちゃんと渡り合えるくらいになる。
血筋もあるんだろうけど
努力もすごかったんだと思う。
最初は絶縁状態だったが

博多淡海が吉本の舞台上で
木村進をどうかよろしくお願いします。
と土下座して、和解したらしい。

私は大学から東京で、30年、関西の事情に疎くなっている。
博多淡海を調べると当然木村進も出てくる
知らない間に色んな事があったんだなあと驚いた。

木村進のその後
木村進は吉本の人気が下降線を辿っていったとき
吉本からの要請もあり、三代目博多淡海を襲名
その名前で巻き返しを図る

ところが、そんな矢先、脳内出血で倒れ車椅子生活に。
吉本も辞め、博多淡海の名前も返上したらしい。

ただ、寛平ちゃんの声かけもあり
端役ながらも今、車椅子で舞台に立っているらしい。

頑張れ

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[関西人]シリーズはこちら(少し下げてね)

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