本屋ではこんなふうに頑張りました

前回、本屋の店長になった話をしました。

今日はその奮戦記を行きましょう。

勝手に
前回、再販制度の話はしましたね。
本は取次店のもの。

もちろん、売れれば売れた分だけの売上なので
本屋も頑張って売ります。

発注も、返品も自由なんですが、
仮に、発注も返品も全くしなかったらどうなるでしょう。

答えは
取次店が勝手に置いていく。
です。

極端な例でしょう、とお思いでしょうが
そう極端な話ではない。

ちゃんとは覚えていないけど、
100冊本が届くとすると、
自分で注文したのは20冊位だった気がする。

8割がたは勝手に持ってくるもの。
気に入らなければ、次の週にどんと返せば良い。

平積みっていうんだけど、棚に立てている本じゃなくて
台にドーンと10冊も20冊も積んである本ありますよね。
あれは、十中八九、勝手に置いていった本。
積む作業自体は、本屋がやりますけど。

なんでかというと、売れるから積んであると言うより
売りたいから積んでいる。
積んであったら、この本人気あるのかなあ、
ちょっと手にとってパラパラって気になるでしょう。

数週間すると、2冊くらい残してあとはごそっと返品。
そうしないと、次の、勝手に持ってきた平積み用の本を置くところがない。
あのすごい量の本はどうなるんでしょう。
おそらく、全国的に同じ本をそういうふうにしているから
同時期に一気にドドーンと帰ってくるはず。
その時は時期を逸しているから、大量のその本は
他の店には回せないと思う。

見たわけでも聞いたわけでもないけど
破棄するんじゃないかなあ。
潰してリサイクル?

おそらく、最初からそれを前提とした値段。
だから本は高くせざるを得ない。
ほんの数割しか元々売ろうとしていない。

本屋の店長をやってた人間がいうのはなんですが
平積みしなくていい、amazonとかのネット販売は利益率すごく高いと思う。
ネット販売は本屋の歪みを是正する正しい方向かもしれない。

どうするか
この2割の割合をもっと増やそうと思った。
勝手に置いていってそれは見世物です。
勘弁してくれと思った。

もう少し正確に言いましょう。
取次店は、本屋でどの本がどれだけ売れたという数字は全て把握しています。
なぜならPOSレジがつながっていて、全てデータが流れているから。
とすれば、売れた本は、全て補充してくれそうなもんだけど
それだけをずっとやってると、10年たっても同じ本しか並びませんよね。
取次店は、その中で、この本は売れたかもしれないけど、持って行くのやめようと
勝手に間引いちゃう。
それは、長年のノウハウですってことになってるんだけど
ほんまかなあと思う。
売れるだろうという予測より
これ売りたいって願望の方が強い気がする。

最初に言った100%お任せって、やってるところあるかもよ。
売れる本なんてそうそう分かるもんじゃないから、任せちゃえってね

返品
特に問題は返品。
返品までは分析してくれない。
おたく、この本、ずっと売れないで残っているんじゃないですか
そろそろ返品したらどうですか、なんて言ってくれない。

発注をお任せにしても、返品しないと、
全体としては売れた分しか持ってこない。

ここだと思った。
売れてない本さえ見つけられれば、返すことができる。
返してその分売れる本を発注する。
1冊売れた本は2冊仕入れる。

全在庫把握
何千冊?何万冊だったか覚えてないけど、本屋の膨大な本を全部把握する。
ハンディターミナルというのがあります。
本にはすべて裏にバーコードがついています。
暇を見つけては、ピッピッと読み込む
順番に読んで、どこの棚の何番目に何の本があるかまでちゃんとデータとして蓄積していく。
細かい事は全然覚えてないけど、ハンディで読むところまではすでにシステムがあって
その後、棚番つけてデータを蓄積していくところは自分でシステム作った気がする。
2ヶ月に1回ずつぐらいだったか、何巡かすると、何が残っているか分かってくる。
売れてない本は大胆に返品する。

発注の方は、勝手に間引きさせないため、
勝手に持って来る分以外に、売れたデータはこちらでも分かるから全て売れた分だけ発注する。
そうすると多くは2冊ずつ来る。
売れない本も全くなくなったら品揃えの面で問題があるだろう。
ただ、5割は半年以内に売れたことのある本だけで構成してやろうと思った。

少しずつはそうなっていったはず。

データの話が長くなりすぎましたね。
次回は、販促の話とか、検索機の話とか、色々話していきますね。

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