[織田信長]2 二人だけの時間では

[織田信長]1。まむし殿の娘、濃姫
の続きです

天文18年2月下旬、信長の父信秀は、その頃居城としていた末森城中で病んだ。
さらに病床にあることわずか十数日で、三月三日夜、四十二年の生涯を終えた。

16歳の信長の魂は、痛恨と憤怒とに激しく猛り狂っていた。
父よ、父よ、何故死んだ。このおれはこれからどうすればよいのだ
次期当主としての教育を全く受けぬまま
相変わらず気の強い信長ではあったものの
何をどうすれば良いのか、あまりにも荷が重かった

そんな信長に寄り添って、心の拠り所になったのは
ある意味、意外な人物と言えるかも知れない

政略結婚の人質として、政敵斎藤道三の元から織田信長のところに嫁入りした濃姫
道三に不利な情報を得るや
間者を通じて、情報を流した

ただ、それを知りつつも
濃姫を疑う重臣を怒鳴り付けた
「お濃は俺の妻だ」

それを聞いてしまう濃姫

ある日、濃姫が信長に手紙を見せた

なんじゃ

父からの手紙にございます。お読み下さいまし

──信秀死去に伴って、織田家中に紛擾あるべし、好機あらば直ちに報せよ、直ちに兵を出す。
そなたは、栄善の許に逃げれれば必ず救う

どういうつもりで、この書面を、おれに見せたのだ

殿は私を殿の妻ではない、道三の娘だとおっしゃいました。
私が道三の娘ならば、その書状を、殿にお見せしなかったでしょう

いつから、そんな気になったのだ

殿が、道三の間諜であるこの私を、おれの妻だ──と御家老衆に叱りつけていらしたのを盗み聞き致した時からでございます

信長は静かに、濃姫の手を取った

その日以来、二人だけの時間は明らかに違ったものになった
公の前では、何ら変わることはなく
何かと言うと怒っている信長ではあったのだが

[日本の歴史]シリーズはこちら(少し下げてね)

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