小僧ってねずみ小僧だけじゃなかったのね

一日江戸人、という本を読みました。

杉浦日向子さんの書かれた本で
江戸の色んな楽しい話が書かれています。

挿し絵もおそらく本人が書かれているんだと思いますが、
ほんわかとしてとてもかわいい挿し絵です。

ぜひ読んでみてください。

いくつか紹介していきたいと思いますが
今日は盗人のお話です。

江戸時代にも色んな泥棒がいましたが、
一番有名なのは、ねずみ小僧ですね。

私はこのねずみ小僧しか知らなかったのですが
小僧って色々いたんですね。

市松小僧
寛延ごろ(1748-1750)
一番最初はこの市松小僧。
市松小僧は泥棒ではなくスリなので厳密には同じ範疇には入れられません。
とても美男子だったそうです。
金持ちの町人の娘に惚れられて婿になって、前科更正。
めでたしめでたし。

稲葉小僧
天明5年(1785)
21歳
狙ったのはねずみ小僧と同じく大名屋敷です。
盗んだのは刀や脇差ばかりで現金はなく、
総額も大したものではなかったそうです。

なぜ刀剣だったかというと、
武士の魂の刀。
とられたとあっては、恥になるので届け出しなかったそうです。

谷中で捕らえられるんですが
町奉行に護送される途中に縄抜けして逃げたのが有名。
脱走後病死してしまいますので裁きを受けていません。

田舎小僧
稲葉小僧とほぼ同時期に、田舎小僧というのがいます。
農家のせがれだったのでそう呼ばれています。
こちらは稲葉小僧よりスケールが大きくて
2年間で14箇所に盗みに入り総額40両弱。
中には、秀吉から拝領した印籠という超名品も含まれていました。
36歳で死刑になっています。

かわいそうなのが、稲葉小僧と同時期だったこと。
名前も語呂が似ているけど稲葉の方が聞こえが良い。
向こうの方が若い、ということで
人気は持っていかれちゃったそうです。

葵小僧
寛政3年(1791年)
不敵にも、葵の御紋を着用し、立派な武士のいでたちでいたので
なかなか、泥棒とは分からなかったようです。
鬼平こと長谷川平蔵に捕らえられています。
詳細は、長谷川平蔵が抹殺したので分かっていません。

ねずみ小僧
文政6年-天保3年(1823-1832)
そして、最初にもお話ししたねずみ小僧です。

ねずみ小僧は実在の人物です。

ウォーキングで両国に行ったとき、
回向院でお墓にお参りもしてきました。

芝居や講談では、盗んだ金を貧乏人に施す「義賊」として有名ですが
この美談はどうも眉唾なようです。

これらの小僧が大名屋敷を主に狙ったのは、
広い屋敷の割には人数が少なく、
侵入しやすかったからで
強きをくじくっていうのは芝居の世界での脚色です。

泥棒の移り変わり
江戸前期の泥棒は
戦国時代の粗っぽさが残り
殺して奪う強盗殺人と決まっていました。

江戸中期以降に、
こっそり盗む単独犯に移行していきます。

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