紀貫之、人はいさ~(続き)

人はいさ 心もしらず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける

あなたのお気持ちは、さあどうか分かりませんが
古都奈良では、梅の花が昔と変わらずに香り、
美しく咲いて迎えてくれています。

解説
前回、紀貫之についていっぱい話しました

今日は、この歌についてです。

いさ、はどうでしょうという意味
ふるさとは、昔来たことがある場所という意味。
ここでは、旧都、奈良のこと
花は、ここでは梅のこと
平安時代では、花と言えばよほどのことがない限り桜ではなく梅
前の紀貫之のいとこ、紀友則の久方の~は桜でしたけどね

鑑賞
この歌は返歌になります。

今の奈良県の長谷寺に、紀貫之がお参りする度に
泊まっていた宿がありました。
ところが、しばらく立ち寄れないことが続いた。

そこで、そこの主人に
昔のまま変わらずに宿はありますのに
という趣旨の歌を送られる

それに対する返歌ということです。

ちょっとちょっと
最近ご無沙汰なんじゃないの?

人はいさ
さあどうなんでしょう
って感じでまずかわし

花はずっと変わらない気持ちで咲いてますよね

どっちなの?
花はそうかも知らんけど
貫之さんのお気持ちを聞きたいんですけど
と、ツッコミを入れたくなりますね

まあ、裏にもちろん私も同じく変わらずにいますよ
と言いたいわけですけど

案の定、また歌を返されてしまいます。

花だにも同じ香ながら咲くものを
植えたる人の心知らなむ

これどうでしょうね
微妙ですね

しつこいわ
分からんか
となるのか
もう一回返すのって良いんでしょうか

この主人、男性か女性か分かっておらず
説が別れているそうです。

ただ、女性と考えた方が面白いという
根拠のない理由で女性説が有力なようです。

そりゃそうですよね
どうせ判明していないんだったら
面白い方にしましょう。

最後の返歌は
男性だとすると、
しつこくて気持ち悪いですよね

気持ちのかよいあった女性でこそ
おうおう、わらわの言いたいことは分かっておるくせに
可愛いやつよのう

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