清原深養父、夏の夜は~、可愛い歌

夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいづこに 月宿るらむ

夏の夜は短くて、
まだ宵の口と思っているうちに明けてしまったのに
沈む暇もないだろう月は、雲のどこに隠れているのだろうか

清原深養父
清原深養父(きよはらのふかやぶ)は清少納言の曾祖父(ひいおじいちゃん)
内気で純情
一生出世しなかった
琴の名手でもあり、あの紀貫之が、彼の琴を聞いて
あしびきの 山下水は 行きかよひ 琴の音にさへ ながるべらなり
(琴の音が、まるで山のふもとを流れる川のようだ)
よほどですね

鑑賞
月を詠むときは秋の夜長を詠む
夏の夜の短さを詠むのは、かなり珍しいパターン

古今集に解説が出ているので
午前3時くらいに詠まれた事が分かっている

夏の夜は本当に短いなあ
こんなに短いとなると
月さんもいくら駆け足で行っても
西の山にある宿まで行き着かないんじゃない?
今日なんかは雲が出ているから
雲の宿に泊まっているんだろうな
良かった良かった
さあ、どの雲にある宿なんだろう
あっちかな
こっちかな

こういう歌

すごいですね
絵本に出てきそうな設定

西の山に宿があって、月さんが毎日泊まりにいっている
夏の夜は短いぞ
頑張んなきゃ
せっせせっせ

ああ、もうだめかも
あっあそこに雲の宿
助かったぁ

かわいいっ
月から汗が出ている絵が思い浮かぶ

結構長いこと、言っている意味が分からなかったんだけど
言っている意味が分かったとたん
大好きな歌になっちゃいました。

夜の過ごし方
この当時のみやびなお方の夜の過ごし方は
女性の元へ通うか
月をずっと見ているか

はい?
月をずっと見ている?

女性の元へ通う、って
暦だの方角だのが色々あって
毎日という訳にはいかないらしい

残りの日は
ただ、月を見ている

月が手品でもしてくれる訳じゃない
ただ、何も変わらない月を見ている

特にこの歌のケースなんて
そもそも月が雲に隠れて出ていない
月さん、どこにいるのかなあ
と思って眺めているうちに
いやあ、夏の夜は短かいもんですね
明けちゃいましたよ

は?

皆さん、こんなこと耐えられます?

たまには何も考えずに
ぼーっと月でも見ていたいなあ

おそらく3分ぐらいして
うん
もう充分

当時のみやびなお方からすると
逆に不思議なんでしょうか
えっ、何が不思議なんですか
月を眺めてれば
時間なんてあっという間

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