飛脚は走るよ、今日もまた

江戸の文化シリーズ
今日は、飛脚です。

飛脚
江戸時代に発達した飛脚は、3つに分かれます
幕府が公用に使った継飛脚(つぎびきゃく)
大名が使った大名飛脚
民間で利用されていた町飛脚

江戸末期には、北海道から九州までネットワークを広げ
全国展開の大企業になっていました

宿場町で飛脚から飛脚に手紙をバトンタッチして
運ぶ、駅伝のようなシステムです。

値段
例えば人形町から神田までというような近距離であれば
25文(225円)とかなりリーズナブル
ただし、江戸から京都までというような遠距離だと
8両(48万円)もしたということですから
とてもとても普通には使えませんね

速さ
気になるのはスピード
江戸京都間を
普通便で90時間、お急ぎ便で82時間、
「無刻」と言われる超特急便なら60時間で運びました
二日とちょっと
昼夜ぶっ通しで走ります。
時速7.6kmの超高速です。

那珂与次郎
秋田藩お抱えの大名飛脚、那珂与次郎(なかよじろう)
ものすごく早くて
秋田ー江戸間を通常6日かかるところを3日で走り抜けた

急ぎの用事は与次郎に頼め

あんまりみんなが与次郎与次郎っていうもんで
妬みを持つ人も出てきます。

あんな早い筈がない
与次郎は人間じゃなく狐に違いない

よし、証拠をつかんでやる
と、油揚げとかを置いて
狐に仕掛ける罠をしかける

与次郎は、その場所で罠に気づく
御用の飛脚に罠をしかけるなど不届き千万
どうしてくれようと逆に証拠をつかむべく近づいた瞬間

網にかかってしまいます
もはやこれまで
せめてこの手紙だけは届けぬわけには行かない

呪いの言葉を吐きつつ、手紙を放り出して死んだ
するとどこからともなく子狐が現れ
手紙をくわえると、一目散
仲間同士でリレーしながら期間内にちゃんと目的地まで手紙を届けた

そんな与次郎伝説がある秋田の与次郎稲荷神社というのがあります

そして、今、その地域に
可愛いキツネのよじろうご当地ゆるキャラが大人気だそうです。

不思議
ずっと不思議に思っていました
なんで走るの?

電車は無いにしても
馬だってあるし、船だってある
走るのは遅いでしょう


馬に関しては、結論的に言うとあるにはあった。
でもほとんど使われなかった。
コスト面が会わなかったようです。

むしろ、鎌倉時代には馬を使っていたみたいですが
江戸になると馬より人が使われるようになっていった
馬代、餌代などコストがかかりすぎる

もうひとつの理由がすごいと思うんですが
速さがほとんど変わらないから

馬は夜は走れないけど
人は夜も走る
とすると、ほぼ変わらないらしい
そうしたら、コストのかかる馬を使うこともない

三つ目には、馬が使われなかった理由というより
実は、隠れて使われていた。

そもそも、馬って、武士以外は乗ってはいけない
特権的なものです
じゃあ、馬ってどういう使われ方かというと
思い荷物を乗せて引いていくもの
牛と同じ使われ方です

ということなので
特別な馬以外は
もともと人より遅い。


先程の話ですが
人より遅い馬が使われる場合というのは
不真面目な飛脚の場合です。

実際に、馬に手紙を乗せて
煙草をふかしている飛脚が描かれている絵があります。

どれくらいが昼夜走り続ける真面目な飛脚だったのか
そんな資料は残っていませんので、分かりませんがね


次に船ですが
結局、何だかんだで、人が走るのとあまり変わらないらしいです
すごいですね。人。
あと、船は天候に左右されやすいということもあるんだとか。

ところで、これも疑問だったんですが
江戸時代、船はすでにかなり使われていたはずなのに
江戸と上方の間でやり取りされていたのは荷物だけで
人の交通手段として使われなかったんだろう

これに関しては、全くダメということでもないけど
ほぼ禁止に近かったようです。

理由は、海外に逃げちゃうかも知れないから。

幕末のドサクサになると
それなりに、幕末の志士たちは、船を使ってますね
特に坂本龍馬は船を扱えますからね

鳥羽伏見の戦いで、徳川慶喜が大阪から江戸に逃げ帰った理由は
複合的な理由ではありますが
ひとつには
慶喜は、船に乗ってみたかったんじゃないか、という説がある
あの人の性格からして分からんでもない。

飛脚は走るよ、今日もまた」への4件のフィードバック

  1. 日本の馬は小さい…なんてこともあるが、
    そもそも、ウマというものは思ったほどは持久力がなく、普通の競馬程度の距離ならよいが、フルマラソンとかになってくると、
    最初だけは速かったのがだんだん疲れてきて遅くなって普段から鍛えている人と同じくらいになってしまう。
    足軽に追いつかれる…のほうは、足軽もそれなりの装備を持っていて全速力では走れないと言いかえせるが、飛脚は超軽装/重い装備は持っていないとなれば差が殆どでない。
    普段鍛えていない人/常時重い甲冑を身に着けている武将とかなら身を任せておくだけで走ってくれる/坂道を登ってくれる馬は有難いが…自分の脚との競争なら小さいポニーでも大抵の人には必要十分…、普段から鍛えている飛脚との競走には馬はそんなに有利でない。
    高くても速ければそれなりに需要も出る。馬を換えるところを沢山作れば速度面の優位は多少は出る。が、差が小さすぎ。おまけに街道を疾走する馬による危険が無視できない という理由もあり、馬飛脚は短命で廃止されてしまいました。

    だけど、三度飛脚は、馬子の曳く昼夜兼行の乗り掛けの馬(手紙だけでなく飛脚本人もその馬に乗る)を使っておりました。こちらの方が由緒正しい馬の使い方みたいです。

    • なるほど分かりやすい説明ありがとうございました。
      馬は長距離は苦手だというのがよくわかりました

      • 確かに、馬は思ったほどは長距離が得意ではないが、「苦手」とまで言うのは馬に失礼で、どのような表現にするのが適切か苦慮するところなのです。

        …持久力というのはそもそも相対評価みたいなもの。
        ヒトの100m走の世界記録を時速に換算すると37キロほど。マラソンの世界記録は時速20キロほど、持久力は20÷37=0.54てな具合に評価。ヒトは短距離での最高速度を抑えてあるから持久力を計算するとかなり高ことになってしまう。
        馬は、サラブレッドなら最高時速60キロ、江戸時代の馬とかジョッキーベイビーズのポニーとかでも時速40キロほど。瞬間最高速度が高い分だけ計算上の持久力は不利になってしまいます。

        • なるほど
          馬にもよるでしょうしね
          長距離が好きな馬だってきっといる
          どうしても競馬の馬を勝手にイメージしてしまう人間の悪い癖ですね

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