「はい」が「イエス」でないわけ

金田一先生の「美しい日本語」シリーズです。

はいといいえ
日本語のはい と いいえは、英語のイエス ノーに似ているけど
違う部分がある

英語のイエス、ノーは肯定か否定か、ただそれだけ

日本語では、はい の方が好ましい言葉であり
いいえ の方は好ましくない言葉。

はい は、あなたのお考えは正しいです。
いいえ は、あなたのお考えは違います。

例えば
コーヒーをお飲みになられませんか

いいえ、眠れなくなるといけませんから
とは、言いづらい

はい、ありがとうございます。
で、そのあとおもむろに

でも、ちょっと眠れなくなるたちなものですから。

いかにも日本人的ですね。

小泉八雲の「乙吉のダルマ」に出てくる主人公。
どんな時でも一往yesと言ってから答える
と、面白そうに書いている。

あなたは東京へ行ったことがあるかね?

へえ。てめえども、一回は行きてえと思っておりやすが
なにぶん行かれませんで。

いいえ
じゃあ、日本人はほとんど「いいえ」を使わないんだろうか

実は2つの場合に、積極的に「いいえ」を使う。

ひとつは、へりくだりの時。

あなたは、とても字がお綺麗ですね。

いいえ、とんでもない。私など

この時とばかりにいいえの出番です。

もうひとつは、相手を励ましたり、慰めたりするとき。

私はやっぱりダメな女なのね

いいえ、どこがダメだったりしましょう。

むちゃくちゃ日本人的ですね。

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