[百人一首]67 春の夜の~

春の夜の 夢ばかりなる 手枕に
かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

春の夜の夢のように、はかない手枕のために
つまらない浮き名がたってしまっては、なんとも嫌ですからね

周防内侍
周防内侍(すおうのないし)は後冷泉(ごれいぜい)天皇の代に女房として出仕した。
後冷泉天皇崩御とともに退官。

でも、次の後三条天皇に
良ければ、また来てくれない?

そして、その次の白河天皇にも、その次の堀河天皇にも仕えます。
よほど人望が厚かったんですね

鑑賞
また出ましたね、名こそ惜しけれ。

これは、これだけ読むとどうやっても言っている意味が分かりません。
その前があるんですね

二月のある夜、なんだか盛り上がっちゃって、女同士でワイワイガヤガヤ
いわゆる女子会ですね

周防内侍が

ごめんなさい、ちょっと眠たくなっちゃったわ
枕無かったかしら。

それを聞いた、藤原忠家

これを枕にどうぞ

御簾(みす)の下から腕を出した。

あらやだ。
と、即座に詠んだのがこの歌。

そんなお誘いにのったら、噂になっちゃうじゃない。

決まり文句の「名こそ惜しけれ」ですね。

甲斐なく、と腕の「かいな」をかけ
春の夜→夢→枕 と連想ゲームで言葉を繋げていっている。
即座にこれだけのものを返せるんだから大したもんです。

もちろん、忠家は、みんなのいる前なので、本気で腕を出した訳じゃない

ツッコミが帰ってくる前提でのボケです。
女性軍にもっと盛り上がってもらおうと言う話題提供。

ただ、きわどいジャブで、せっかく笑ってもらったわけですから
今後、どういう展開になるかは分かりません。
宣戦布告しておきましょう。
当然の礼儀ですし。

契りありて 春の夜ふかき 手枕を
いかがかひなき 夢になすべき
(深い縁あって、あなたに差し出す手枕を
なんで、夢などに終わらせましょうや)

さあ、その後、どうなったでしょうね。

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