これ以上運動すると体に悪い。その境目

運動って、体にいいはず。
ただ、漠然とした不安を持ってませんか。
やり過ぎて、体を悪くする例が後をたちません。
スポーツトレーナーのような人に管理してもらえない、我々素人は、素人なりの基準をちゃんと持っておかないと危ない。

境目があります。

有酸素運動と無酸素運動
結構、当たり前に使われているこの言葉をおさらいしましょう。
栄養素をエネルギーに変えることを代謝(たいしゃ)と言います。
その方法には大きく2つあり、酸素を使うのと使わないの。
使わない代謝をするための運動が無酸素運動で、短時間ででっかい力を発揮する。
ものを持ちあげたり、短距離走だったり、筋トレだったり。
息を止めている間にやりきってしまえる運動。
「うううん」ってイメージ。
もう少し長い時間、スーハーしながらの運動が有酸素運動。

ずっと有酸素じゃない
有酸素運動って、有酸素運動っていうくらいだから、ずっと酸素を使うと思いますよね。
実は違うんです。
ジョギングでだんだんスピードを上げていってください。
だんだん息が荒くなってきます。
運動で、酸素を使う代謝が大量に必要になり、もっと酸素ください、もっと酸素ください。
ついには苦しくなって止まっちゃう。
その時の酸素の量を、最大酸素摂取量と言います。
そしてそのちょっと手前が問題。
からだは、代謝の仕方を変えちゃうんです。
酸素は追いつかないのに、必要とするエネルギーは膨大。
そうです。無酸素運動のやり方に変えちゃうんです。
この境目をATと言います。

無酸素運動って、もともと息を止めている間の超短時間が前提。
その限界を超えても、まだやっぱり酸素が足りないため、無酸素の代謝を続けざるを得ない。
ここで、かなり体にダメージを与えていきます。
活性酸素という毒物が体の中にどんどん増えていきます。
なんでまた、体に毒のものを体自身が作るんでしょう。
一定の量であれば、健康に必要だからです。
癌だの細菌だのウィルスだの、体に悪いものをやっつけるためには、毒が必要なのです。
こういった仕組みを「免疫」と呼んでいます。

境目
もうお分かりですね。
運動は一定限度を超えると体に悪い。

「うん、分かった。ATは超えないようにするよ」
「あれれっ。ATってどうやったら分かるの」

ATは、アスリートでは高いが、一般的には最大酸素摂取量の50~60%
って、何の答えにもなってませんね。

ATの測り方
ハートレートモニター(心拍計)で心拍数を測り、あとはあれやこれやの計算式。
そんな、専門的なものを持ってるわけはありません。
そんな方のために、と良く本に書いてあるのが簡易法。
AT = {最大心拍数(220-年齢) - 安静時心拍数} × 0.75 + (安静時心拍数)
だから、心拍数は無理だって。
さらに、年齢って何よ。
十把一絡げ(じっぱひとからげ)もいいとこですね。

これでどうだ
急にきつくなるという、そのグラフの角度を何度も見つめ
急にきつくなる時点に共通の基準。
自分としての実感だけが根拠です。
もちろん本には絶対乗ってません。

鼻呼吸です。
ここで、鼻呼吸の話がつながりましたね。
9対3の鼻呼吸を維持しつつ、ウォーキングの速度を上げていく。
だんだんきつくなってくる。
あかん、もう口呼吸。
その境目がAT。
おそらく、誰にも迷惑はかけないでしょうから、勝手にここをATと決めてしまいましょう。
ただ、あくまでもウォーキング前提です。
ジョギングだと、初めから口呼吸をせざるを得ません。
逆にいうと、私がウォーキングをいいと思っている理由の一つ。
ATが分かりやすい。

鼻呼吸ATが教えてくれること
「もうだめ。口呼吸も必要」っていうAT、を超えると体に悪いので、スピードをゆるめる必要があります。
思い切って、立ち止まった方がいい気がします。
1分間止まります。
深呼吸をしながら、息を整える。

たまには
ただ、たまには、口呼吸を取り入れてでもハイスピードを維持する。
あくまでも「たまに調子のいい時に」です。
目的は、AT自体を引き上げたいからです。
速足ウォーキングが「健康」にもたらす機能は心肺機能の強化です。
毎度毎度、無理のないウォーキングだけでは、心肺機能の強化に時間がかかりすぎます。
心肺機能を引き上げては安定させ、また引き上げては安定させるということが必要です。

口ぽかん、は健康に悪い

ウォーキングの呼吸法については、9対3の話までしました。
今日は鼻呼吸の話です。
口呼吸に比べ、鼻呼吸はとてもメリットが大きい呼吸です。
もちろん、ウォーキングの時限定ではなく、日常的に、「できるだけ鼻呼吸をした方がいい」ことになります。
それは、なぜなのか。

鼻呼吸がよい理由
鼻呼吸がいい理由は大きく3分類になるでしょう
1.免疫面
2.体温面
3.ウォーキングに関しては、「やりすぎ」ない基準になる

免疫面
・免疫には、「外からの外敵をやっつける」「癌などの体の中で発生してしまうものをやっつける」がある。
・「外から」の場合にはどこから入ってくるかで、「皮膚」「呼吸器」「口→消化器」に分かれる
・「呼吸器」は「鼻」か「口」で、空気にのってやってくる外敵をいかに防ぐか
・口になくて鼻にある「防御する武器」は鼻毛と鼻水
・鼻毛はフィルター。異物を吸着させる。
・鼻水は、粘膜についた外敵を洗い流す。
・息を吸うとき口を使うと、「防御する武器」をせっかく用意しているのに「えっ使わないんですか」ってことになる

体温面
・体温を高めに安定させることが、免疫に非常に重要。
・鼻を使うと、冷えた空気で体の中から体を冷やしてしまうことがない。
・鼻からのどにかけてある副鼻腔というたくさんの空洞が、入ってくる空気の温度と湿度を調整してくれる
・逆に口呼吸は、ウィルス、ホコリ、花粉、病原菌等を含む空気が、のどの奥の扁桃組織を直撃し、細胞内感染が起こる
・鼻呼吸で、空気の温度調節ができる理由は、体内でできた二酸化炭素。これは38度なのですが、吐くときに鼻から吐くと
副鼻腔に、その暖かさを蓄えてくれるから。
・試しに、吐く息の前に手をかざしてみると、口から吐いた場合と、鼻から吐いた息の温度の違いを実感できる(口からの方が温かい)
・吸うのが鼻で吐くのが口といっている呼吸法もありますが、温度調整のことを考えると吐くときも鼻でないともったいないですね。

「やりすぎ」ない基準
・これは、ウォーキング限定の話です。
・別ページでお話しします。

肩は浮いている。なめらかに動かそう

ウォーキングのノウハウ(腕)
脚の運び方は実に簡単でしたね。
それに比べると、上半身は結構めんどくさい。
90度腕振りだ、いやそれはダメージがある…
この辺りを理解するために、前提となる基礎知識をお話しします。
また、理屈の話で恐縮ですが、しばしご勘弁

腕の付け根
「腕の付け根はどこでしょう」
でたっ、この質問。その手は桑名のやきはまぐりですね。
まさかここへきて、肩を指差す人はいないでしょう。
ではどこなのでしょう

肩の仕組み
下半身の話から想像して、肩も支点ごと移動できるの?
はいそのとおりです。
脚は、背骨→骨盤→股関節→大腿骨でしたね。
肩の場合はもっと精巧です。
背骨→鎖骨(さこつ)肩甲骨(けんこうこつ)→肩関節→腕の骨です。

一個多いのです・
腕は脚よりももっと柔軟にぐるんぐるん360度に近いところまで回ります。
2段階で繋がることによって複雑かつ広範囲な動きを可能にしています。

背骨に動ける棒(鎖骨)がついていて、棒の先に動ける三角板(肩甲骨)がついていて、そのはしっこがやっと肩。
このあたりで、ちょっと疑問に思われた方がおられるかもしれません。
肋骨(ろっこつ)はいつ登場するの?
肋骨ほどの大きな骨なのに、2段階の肩のセットは肋骨とは全くくっついていないんです。
上にのっかってはいますが、独立している。
やじろべいのように、浮いた感じで自由自在。

通常は、肩甲骨は肋骨の後ろに寄り添っています。
ところが、肩ってぐいっともっと前に出すことが可能。
そうしたいときは、肩甲骨は天使の羽を広げるようにしてぱかっと開き、肋骨よりもっと前に肩関節の位置をずらしてくれます。
とてもいろんな動きが可能で、肩の位置は前後上下外内のいずれにも自由自在に動けるのです。

質問の答え
質問の答えはもうお分かりですね
背骨です。
足の付け根はみぞおちでした。
大腰筋の片方の端がみぞおちの背骨のところについているからです。
ということは言い方を変えると足の付け根は背骨です。
腕も脚も背骨が付け根なのです。

じゃあ腕はどう動かせば
脚は腰を回しながら、意識して大きく動かせばいいんでしたね。
ということは、腕も、肩自体を前後に動かしながら大きく動かせばいいんじゃない

ブッブー
違うんだなこれが
ここが、下半身に比べ、上半身の難しいところ。
見た目で分かるほど、腕を大きく動かすと、とたんに背中が痛くなります。
じゃあ、何のために、肩甲骨が自由自在って話をしたのよ

下半身が「大きく動かす」なら
上半身は「滑らかに動かす」

上半身の動きは極めてダメージを生みやすいと思ってください。
肩甲骨が自由自在だって知らない人は、動きがしなやかにならない。
ギシギシって感じ。
そこで、ウォーキングとか頑張っちゃうと、途端に背中や肩を痛めます。

下半身は早く歩くための動きを
上半身はダメージを受けないための動きを心がけてください

ちょっとヤバいかもってなりそうなら、肩甲骨を滑らかにする体操をネットとかで見て、ぐねぐねしておいて下さい。
結構ヤバいぞとなってきたら、仕方ないので極力上半身は動かさないようにしてください。
90度腕ふりは、カラオケの歌詞の如し。
下半身の動きが分からなくなったときだけやれば大丈夫です。

ウォーキングで腹横筋を鍛える

腹筋の種類
・腹筋は3種類の筋肉で成り立っています。
1.腹直筋(縦方向に伸び縮みします。一番外側にある筋肉)
2.腹斜筋(横腹の筋肉です。今回あまり話題にしません)
3.腹横筋(横方向に伸び縮みします。腹直筋より奥にあります)

腹直筋と腹横筋
・腹直筋は体を前屈みにするための筋肉(要は腹筋運動をするための筋肉)
・ですから、上体を起こす腹筋運動をすると腹直筋が鍛えられます。
・腹筋を割りたい場合は腹直筋です。
・腹横筋はお腹を引っ込めるための筋肉。

下腹ぽっこり対策
・もし、下腹が出ているからその対策として腹筋運動をしている人がいたら、やんわりと教えてあげて下さい。
・「お腹は引っ込まないかもーっ」
・内蔵って重いので、腹横筋が鍛えられていないと、重力で下腹が出てきてしまいます。
・もちろん、脂肪がついていて下腹が出ているケースもありますが。

腹横筋を鍛えるには
・腹筋運動ではダメってことがわかりました。
・どうすればいいのか。
・幸いにして腹横筋はインナーマッスルでありながら随意筋。
・自分の意識で縮めることが可能です。
・お腹を引っ込める運動をすればいい訳です。
・一時期とてもはやりました。
・ロングブレスダイエット。ドローイン。
・まさしくこれです。

9対3の呼吸法で
・ロングブレスダイエットにしても、ウォーキングと組み合わせたりしています。
・9対3だと、どうしても「さらに吐く」ことが必要なので、自然と腹横筋が鍛えられることになります。