甦れ、田中久重の万年時計

田中久重シリーズ第三弾ということになります
田中久重。東芝未来科学館に行って来ました。
田中久重。東芝未来科学館に行って来ました。続き

あまりにすごいので後回しにした、万年時計です

万年時計

2つの意味で感動してしまいました。
ひとつは、万年時計そのものと田中久重の仕事の仕方だったり思いだったり
予想を遥かに超えていました

もうひとつは、プロジェクト
万年時計を分解して、その機構を理解した上で
動く万年時計として復元しようという
国家的大プロジェクトが100人規模の現代の最高峰の技術者を集めてとりおこなわれたんです。

こういうの大好き
増上寺の台徳院霊廟の解体復元プロジェクトも泣けたなあ
徳川将軍の墓掘り起こし大プロジェクトも

はるか時空を越えて、超一流の技術者同士に思いが通じ合うってやつ
ああ、泣ける
泣いて良いですか

東芝未来科学館で万年時計の映像が流れていて
それで度肝を抜かれて、家に帰ってさらに調べると
プロジェクトの様子が、一時間番組がyoutubeにアップされていましてね

当分、この興奮が尾を引いてしまいそうです。

以下、この番組の内容を中心に引用していきますね

概要
6つの時計の面があります。
和時計
二十四節気
十干十二支(干支です。60種類のいずれか)
七曜(日月火水木金土)
月の満ち欠け
洋時計
そして、上部のガラスのドームになっているところが、天球儀
京都から見た太陽と月の位置が正確に分かります
一回のネジの巻上げで何と1年間動きます。

もうここまでで、暦ファンとしてはクラックラ来てます。
卒倒しそうです。

番組では、3つの謎と言っておりますが
仰る通り
卒倒ポイントは3つです

卒倒ポイント1:天球儀
今までも、天球儀はありました。
江戸時代の天文学者にとってみれば、最も関心の高いグッズです。
渋川春海だってかなり精巧なものを作っていますし
伊能忠敬だって全国に持ち歩いています。

ただ、今までのものは3次元で太陽や月や惑星などの通り道が示してあって
今日は何月何日なのでと丸い印を人間がシュッと合わせて理解するためのもの

「動かす」天球儀であって、自分で「動く」天球儀なんてあり得ない
夏至から冬至までの太陽の回る軌道の高さを変えるため支柱の根っこの場所と角度を変えることで実現。
お皿上のものが回り、その上にいくつかの歯車がありその先に支柱
結果としてこんな風に

奇跡だと思う。

プロジェクトの責任者もとても嬉しそう。

卒倒ポイント2:和時計
和時計以外の5つの面はえっそんなのまで?みたいな嬉しさはあるけど
理屈的にはまあ可能かなと。
一年を固定の数字で割ればいい
二十四節気は一年を24で、干支は60で、曜日は7で、月の満ち欠けは29.4で
洋時計は普通に時計。

ところが、和時計だけは簡単にはいきません。
不定時法だからです。
このブログでも何度か話しました。
日の出りが明け六つ、日の入りが暮れ六つ
その間を6等分したのが一時(いっとき)
季節によって変わるという事です。

それで時計を作れって
そんなん無理やん

以前、谷中にある大名時計博物館に行きました。
実は全く無理な訳じゃなく
色んな人が数々の工夫で何とかしています。

季節によって文字盤を入れ換えたり
重りを変えて、進む速度を変えるとか
でも、そういう調整をするのは人間が季節を理解して行う。

調整自体を機械にやらせようという発想は今までありません。

そんなん無理やん

何と文字盤がぞろぞろぞろっと動きます。
上の方に寄ったり、下の方に寄ったり

一体なぜそんなことが可能なのか

こんな変わった形の歯車がある
虫歯車と名前をつけるんだけど、それで可能になるってことまでは分かる
プロジェクトのそうそうたるメンバーも
良く分からん、作ってみるしかない

同じものを作って動かしてみて、ようやく、そういう意味か
これより先は言葉では余りにも難しいんで、やっぱり動画を見てくださいね
動画を見ると合点がいきます。

発想ですね
専門家の人も、全くこんな発想したことないと言われてました。

卒倒ポイント3:動力機構
長くなっているので、ここはさっと行きますが
ゼンマイ一回の巻き上げで1年動くって、どうにもこうにも
専門家もビックリのゼンマイが二つで
力が強い最初の頃と、力が弱い最後の頃を均一のスピードにするための
サザエ車というこれまた独自の発想の機構を介して動く

復元
分解して機構は理解できた
さあ復元だ

目標は「愛、地球博」での出展
ありましたね、愛知県での万博
私も行きました。

同じ仕組みの部品を作って組み上げて
今動く、田中久重の万年時計の完全レプリカ

例えば歯車でいうと
全て久重がひとりでコツコツとヤスリで擦って歯を出していった。
気の遠くなる作業

今は、当時とは比べ物にならない精度ですぐ出来る
設計図が完璧に書ければ、動くはず

ところが問題発生
例の虫歯車のところが引っ掛かってスムーズに動いてくれない
結局、ヤスリでちょっとずつ削って微調整。

良いですね
久重からの声が聞こえて来そうです。

そこは苦労してもらわないと

台座の装飾、綺麗ですよね
これはさすがに久重が自分で作った訳じゃなく
当時の超一流の職人に依頼

今回も現代の超一流の職人に依頼

さあ、どうだったか

結論的に言うと
完全レプリカという意味では、
愛知万博に間に合わなかった

ゼンマイは真鍮で出来ているんだけど
どうにも時間がかかりすぎて断念
ステンレスで作りました。

そこ以外は完璧なはず

さあ、ゼンマイ巻くよ
動くかなあ

動いた!
みんな大歓声、大拍手

復元したものにしか分からない
久重の思いとかこだわりとか
そういうことを感じつつの作業ですから
おそらく全員に久重の魂が乗り移っているでしょう

プロジェクトリーダーさんが
最後に言っていました

仕事って、困難な事があると代替策を考えて
こうやったら
100%同じではないにしても大体同じ感じになるっていう
安易な方向に行ってしまうけど
田中久重はそれを一切しなかった人なんじゃないかな

索引はこちら
[江戸の理系力]シリーズはこちら(少し下げてね)

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