マクファーレンの日本1852がペリーに与えた影響

「外国人が見た幕末・明治の日本」という本を読みました。

外国人は、「フジヤマゲイシャ」で極めて日本について不正確な知識しか持っていなかったと
どこかで読んだ記憶がありました。

もちろんそういう人はいたんでしょうが
少なくとも、この本に紹介されている人たちは
詳細で、着眼点が面白く
総じて好意的に日本を描いてくれている。

外国人が書く文章って実に独特ですね
それを感じるだけでも面白い本です。

今後、それぞれの外国人のひととなりをできるだけ描けるようにしつつ
いくつか紹介していきたいと思います。

最初はペリーからとも思ったんですが
その前にどうしても、この人だけは。

マクファーレン
ペリー来航が1853年
出発したのはその前の年で、1852年の7月
その4ヵ月前に、イギリスの学者、チャールズ・マクファーレンによって
一冊の本が出版されている。
「日本 ー 地理と歴史、この列島の帝国が西洋人に知られてから現在まで、及びアメリカが準備する遠征計画について」
長い名前だこと
あんまり長いので、通称「日本1852」と言われています。

歴史、地理、民族、宗教、政体、自然環境に至るまで
実に詳しく、しかも制度が極めて高い。

シーボルトで、いわば日本学が世界の有識者の中でブームになり
その集大成とでも言うべき内容

本の題名の後半にあるように
もう出発4ヶ月前にペリー来航が明確に書かれている

アメリカが開国交渉を始めようとしている。
それがうまくいくかどうかは、アメリカの交渉のやり方にかかっているようだ。
アメリカは軍事力を見せつける方法を選んだようだ。
決して侮られないようにするという決意の表明だ。

あらま、完璧に分かっちゃってます。

まあ、ペリーは隠そうとしていなかったし
そもそも、列強各国に、一緒に行きたい人、この指止まれって
公募しちゃってますからね

そこに、シーボルトも応募している。

ただ、どういう戦略で望むかと言うことまで、
完全に断定しているのは、よほどの取材力だと思う。

そもそも、この人、日本に一度も行ったことがない。
シーボルトの本を皮切りに、長崎に行ってきた人などに徹底取材
特に、日本人の特性や気質みたいな部分は実に的確。

軍事力を比較すれば、当然ながらアメリカが日本を圧倒している
そう分析した上で
万が一、アメリカが戦いを仕掛けた場合、アメリカが勝つことは間違いないけれど
その過程でどれだけの死者が出るかは想像さえつかない

うちてしやまん、的日本人気質をこの時点で既に指摘している

もちろん、ペリーはこの本を精読したと思われます。
ペリー来航については、次回詳しく話しますが
戦争を仕掛ける気はない
ひょっとしたらこの本を読んで、やっぱりやめとこうと思ったかも知れません。

政体
天皇と将軍の関係についても書かれています。

帝は政治的な重みを持っていない
帝に向けられる尊崇の念は神々に対するそれと、遜色のないほど強いものがある
そうでありながら、帝の暮らしは牢に入れられたようなものである。
帝は宮廷に生まれ、ほとんどの人生を宮廷の周りの限られたところで過ごすのである
公方様は序列ではその下にあっても実質の王権を保持していて、政治的権威の中心である。

総じて、マクファーレンは日本を随分高く評価している
「日本人は、我々が軽蔑する他のアジア人とは全く異質である」とまで言っている

でも、それでも、「半文明国」と断じている
キリスト教を信じている国とそうじゃない国
やはり欧米諸国は、明確にそこに線を引くようです。

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