神田上水物語。楽しい口喧嘩

神田上水物語。主人公は3人
の続きです。

神田上水
今まで出てきた、二人の水道担当者
大久保藤五郎
内田六次郎

大久保藤五郎は家康に誉められ
意気揚々で、神田からの水道普請に励みます。

そしてなんとか完成
江戸で初めて。ひょっとすると日本で初めての水道完成です。

でも並行して、もっと大規模な、井の頭池を水源としての水道工事が始まっていることをまだ知りません。

井の頭池
とうとうと水をたたえる井の頭池
そこから江戸まで水道を引く。

まずは説得からです。
井の頭池の周辺住民たちは当然反対

普請役を仰せつかった六次郎は、百姓と言えど大地主。
後に出来た制度で言えば、名主に匹敵します。

大丈夫だ。わしらの池は大きいし、水は絶えず吹き出している
枯れやせん

六次郎が言わなければ納得しなかったでしょう。
このお調子者は、かなりみんなに好かれていたんじゃないかと思われます。

井の頭池を水源とする、神田川の開削
小説ですから、全て六次郎が采配して作ったようになっていますが
全く川が無かった訳じゃなく、整備していった感じかなとは思います。

関口の大洗堰からは少なくとも完全に掘った気はします。

つい前まで百姓だったとは思えない名采配ぶり
そっちはそうじゃない
そこ、もっと気合い入れて深く掘れ
ずんずん工事は進みます。

さすがに飯田橋界隈になってくると、藤五郎も気づき大急ぎで駆けつけます。

何でお前が水道作ってんだよ。
私が唯一の担当なの

何言うべえ
おらが殿様から直々に仰せつかったんだべ

何だとぉ

主水(もんと)という役職を家康から賜った以上
藤五郎が水道工事の総責任者であることは間違いないんだけど
六次郎の言っていることも全くの事実

藤五郎は毎日現場にやって来てはただ監視する以外にやることがない

百姓の分際で

お前だって菓子屋のくせして

細かいところではぶつかるものの
六次郎の仕事ぶりを見ていると
大したもんだ、という気になってくる

水道橋
飯田橋の水戸のお屋敷の中を通り、いよいよ、江戸市中へ

目の前に外堀が横たわる。

水道がこの外堀を横切る必要がある

どうするよ

おう、菓子屋には分からんだろう
おらに良い考えがある

川を横切る川の橋
掛け樋です。
水道が通る橋なので、後に水道橋と呼ばれます。

元百姓が作ったとは思えない精密なもの
てきぱきと支持し、予定より早く完成です。

行き渡らせる
さあ、水道が江戸市中にやってまいりました。

藤五郎の作ったものが既に一部はありますが
水の量としてはほんの一部

これでは足りない事は藤五郎も分かっています。

悪いが、藤五郎さんよ
おたくの敷いたものは壊させてもらうよ

まあ良いが、どうするんだ

地下に埋めるのさ

ほお、そりゃまたどうやるんだい

それはだなあ・・・
悪いが、説明してやってくんねえ

目の前に、春日与右衛門(かすがよえもん)という男
若いが土木の技術に長けている。
しかも、腰が極めて低い。

家康から、二人を補佐するように依頼された。
市中に入ればもう二人の手に負えないだろう。

これからすべきこと
地中から水を汲み上げるための仕組み
地中で水道が交差する時
地面自体が低いとき、一旦下げても、また水位を上げるための工夫

どんな初歩的な質問にも丁寧に丁寧に答えていく。

何だよ、六次郎も全く分かってなかったんじゃないか

おうよ
おら、ここまでが限度だ
この兄ちゃんにゃ到底かなわねえ

そんなことはない
お前の仕事はすごかったよ
水道の橋が出来たときは
わしゃ泣きそうになった

いやあ、藤五郎さんこそ
何事も一番最初にやるってのがどれだけ大変な事か
あんたのおかげだ

と言って
初めてお互いを誉め合った事に、同時に気付き
顔を見合わせた

まあなんだぁ
そういうこった

春日与右衛門の仕事については、次回

索引はこちら
[江戸の文化]シリーズはこちら(少し下げてね)


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