神田上水物語。主人公は3人

今度、神田上水を辿る、というウォーキングイベントをやります。
下見の様子はこちら
神田上水を辿って

本屋でチラチラ本を立ち読みしておりまして
「家康、江戸を建てる」という時代小説が目に止まりました。
門井慶喜さん。慶喜というペンネーム自体、徳川好きが滲み出ております。

4章立てで、第一章が利根川東遷
おおっ
第三章が神田上水
おおおっ

これは読むしかありませんな

神田上水
びっくりしました。
認識が違っておりました。

大久保藤五郎は知っていましたが、全て大久保藤五郎がやったものと思っていました。
担当したのは三人、それぞれが協力しあいながらだったんですね。
もちろん、小説なので多分に演出は入っていましょうが
信用する前提で話を進めて参ります。

大久保藤五郎
内田六次郎
春日与右衛門

小説として実に良くできていて
喜怒哀楽の激しい藤五郎、お調子者の六次郎
この二人、口喧嘩しあいながらも、同じ目的に向かう仲間として本当は仲良いんだろうなと思わせる
春日与右衛門は、専門家で断トツの切れ者だけど
二人を馬鹿にすることなく、功労者として気遣う優しさがとても泣かせます。

大久保藤五郎
三河時代からの、家康の家臣
他の三河武士同様、この身を投げ売っても、家康のために、と思っています。
三河時代に、戦で負傷し、下半身が不自由です。

おぬしは菓子作りが上手じゃな

あ、ありがたきお言葉

その上手で江戸の民々に水を飲ませてやってほしい。

秀吉から関八州への国替えを命じられて程なくのこと

江戸はとても人が住めるような場所ではなかった
下町はビチャビチャ、山の手はカラカラ
下町は飲み水がありそうに思うが、満潮で海水が奥まで入り込むから
飲み水が有るわけではない。

言われている意味が理解できた藤五郎
その大仕事を自分に与えてくれたことに感激し、既に泣き出している。

体が不自由になった今、武で功をなす事は無理
菓子司という菓子を作る役職に就いた。
自分でも意外だったが、菓子作りという仕事にとても向いていた。
天職かと思えた。
極意とも言うべきことが分かった
それは、水だった。
水の良し悪しで菓子は決まる。

そうか、殿はワシの仕事を奥底まで理解してくれていたのか
この仕事、ワシにしか出来まい。

殿、お願いがございます。

ほお、なんじゃ

このお役目、拙者ひとりにお任せくだされ。
未来永劫、余人にはお命じあられぬよう

大いによし

震えるような、飛び上がるような

まだ信じられない。
この、どこまで続いているか分からない荒れ野原を
自分の手で人が住める大地に変えるのだ。

水を求めて
いてもたってもおられず、
馬に乗り、かごに乗り
方々に出掛けた。

うまい水のありかを知らぬか

言われたところ全て行っては見たが
ことごとく期待は砕かれた
江戸の民たちは、このような不味い水を、うまいと飲んでいるのか

苛立ちはつのるばかり

鷹狩り
家康は、最大の趣味、鷹狩りのために、あちこちに出掛けた

武蔵野の原野が多かった。
後に「三鷹」の呼ばれる土地もその一つ

一通り楽しんだあと

在の者を呼べ

連れてこられたのは、40代半ばの、薄汚い百姓

へえ、殿さん、なんだべか

このあたりで、良い湧き水は知らぬか

このわしを誰だと思うとる。そんなものはおやすい御用
付いてきな。

森の中にあった。
泉。
というより湖に近かった。
澄みきった水、
流入も流出もありそうにない。

全て地下水なのか

わしらは、七井の池っち呼んじょる

(後に「井の頭」と呼ばれることになります)

口に含んで飲み干した。
これだっ

おぬし、よう、よう、ここに案内してくれた。
ええと

わしゃ、六次郎じゃ

六次郎とやら
おぬしは今日から、普請役(ふしんやく)じゃ

??

この水を江戸のすみずみへ配分する、その上水の普請を命じる。
役人じゃぞ

役人という言葉は分かった
百姓にとって、とても輝かしい言葉

へへーっ

初めて、ひれ伏した。

神田
そうとは知らない藤五郎

ようやく、ようやく探し当てた
神田の土地に、こんこんとわき出る清水

藤五郎の肥えた下にも十分であった
次から次から、涌き出る様子は、枯れることも無さそうだ

早速、水を持って、家康の元へ

おおっ
見事じゃ
よくぞ見つけた。大手柄じゃ
この水を、江戸中に行き渡らせるのじゃ

今日から、お前に主水の役を授けよう。
古代からの、水を司る役割ぞ
いや、主水(もんど)と濁ってはいかん
藤五郎は、「もんと」じゃ

もちろん悪気はありません。
大いによし、と約束したのを忘れているだけ

さあ、どうなりますでしょう
この続きは、シリーズの次回でね

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