[赤穂浪士]なぜ即日切腹だったのか

赤穂浪士シリーズ
[赤穂浪士]なぜ吉良家は威張っていたのか
に続く、第二弾になります。

刃傷事件
浅野内匠頭は、吉良上野介から数々の嫌がらせを受けて、腹に据えかねて刃傷沙汰
当時の将軍綱吉は、怒り心頭。
即日切腹を言い渡す。

ちょっとおかしいんじゃないの
喧嘩両成敗のはず

と、そういうことになってますね

史実を元にしているとはいえ、基本、忠臣蔵というお芝居ですから
当然、勧善懲悪をはっきりした方が良い。

でも、良く良く見ていくと
浅野内匠頭も、いくらなんでもそれは無いでしょ、ってことをやっています。

高家肝煎り
一つは前回言いましたね
[赤穂浪士]なぜ吉良家は威張っていたのか
上野介は上野介で一生懸命やっていた。
性格は良くないかもしれませんが、
性格が良くない奴はみんな殺せ、とはならないでしょう。

場所
場所が決定的にまずい。
江戸城の中でも、松の廊下の場所って、白書院という、将軍に謁見する場所の横の廊下
最も位の高い人たちが謁見する場所。

将軍に謁見する人達が控える控え室というのは江戸城内で、いくつかあるんだけど
殿席と言って、どの控え室を使えるかで
大名の位の順番が決まっていく。
みんなこれを一番気にしている。

一番位が高いのが御三家の控える控え室
それは、丁度刃傷沙汰のあった場所の横
こりゃあかん

江戸城内に限らず、公の場は全て
「鯉口三寸抜いたなら、御家は断絶、その身は切腹」なのに
なんでまたそこで。


輪をかけて、刃傷沙汰を起こした時が悪すぎる。
朝廷からの勅使を接待するためのプロジェクトチームな訳だから
接待に関わるとき

その中でいつかなんだけど
一番最終日
今日お帰りになるというその日
全てが台無しになっちゃったわけです。

とても嫌な奴だったも知れないけど、一緒の仕事ももう終わりなんです。
そこでもうちょっとだけ我慢出来ないってどうにも不思議。

そもそも、朝廷からの勅使ってそんなに大事なの?って思いますよね
江戸時代って将軍がやりたい放題

でも、ひとつだけ将軍にはどうにもならないものがあるんです。
官位です。

綱吉って極端なマザコン。

もと八百屋の娘だった、桂昌院(お母さん)が一番欲しかったもの
女性初の、従一位という官位
それは、朝廷から賜るしか方法がない。

勅使への接待に対してどうしても失敗する訳にはいかなかった。
高家肝煎りは良いとして、それ以外のメンバーも無難な選択をしようとした。
一回経験した者なら大丈夫だろう。
高家肝煎り以外は大名が順々に、というルールを曲げて、経験者を選んだ。
浅野内匠頭です。
その浅野が?

どうしても許せなかったと思います。

革命
でも、今まで言ったことは言わば小さな事。
もっと根本的な事があります。

革命の実現のために、即日切腹は必要だった。

徳川は武士
江戸時代は、武士が支配している時代です。
綱吉はそれを変えようとした。

180度の転換。
革命だと言って良い。

武士とは、人を殺すことで評価され、出世できる職業です。
もちろん、家康もそうだった。

天下統一がなって、平和がやって来ると様子が変わってくる。
四代将軍、家綱の時代になると
いわゆる武断政治から、文治政治へと変わっていった。
天守閣が焼け落ちても、再建しないと判断した。

そして、総締めくくり。

どうしてもこれだけは言えない、ということを
綱吉が文にして明確化した

「人を殺してはいけません」

武士が自己否定をした。
国会議員が議員定数を削減するより難しい。

そのあとに続く
「動物もね」
がクローズアップされ過ぎて、変な風になりましたが。

このお陰で、260年も太平の世の中が続くわけです。

その宣言をしたあとに
最悪の時と場所で、殺人未遂

あかんと言いましたよね
聞いてなかったんですか

物語としての忠臣蔵
松の廊下の刃傷事件は、全面的に浅野内匠頭が悪いと思います。
でも、私は忠臣蔵は好きだし、楽しんで良いと思っています。

分かった上で楽しめば良いんじゃないかと。

そして、みんなそんな事は百も承知なんじゃないかと。

討ち入り後、すぐにお芝居になったんだけどほとんど流行らなかった。
流行ったのは、47年も経ったあとの「仮名手本忠臣蔵」になってから

生々しい「事件」が、「物語」になる期間が必要だった。

嫌味な嫌な上司をみんな経験していて
あの野郎、殺してやりたい、と思ったことがある。
でも、綱吉やでーこんに言われずとも
「だからといって、殺しちゃいけない」
のは分かっている。

でも、物語の中で実現するなら。
スッキリするじゃないですか。

殺せなかったけど、その思いを引き継いだ
47人のメンバーが、1年半かけて実現する。
やったぁ

そうすると切腹だと分かっていても、
ひたすらに立ち向かう。
やっぱり泣けます。

索引はこちら
[赤穂浪士]シリーズはこちら(少し下げてね)


フクジュソウ

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