植物は聞いている?

植物の感覚シリーズ
視覚、臭覚、触覚、と来て、今回は聴覚になります。

聞いている?
森は音を響かせる。鳥がさえずり、カエルが歌い、
コオロギが鳴き、風に葉がカサカサと揺れる

聞こえないのはもったいない。

結論から言いましょう

「現在のところ分からない」

視覚、臭覚、触覚の研究は随分進んでいて
論文も数多く発表されているが
聴覚に関しては、極端に少ない。
ほとんどが、行った実験の結果が
「変化なし」というもの

そして「植物はそこまで知っている」の著者、ダニエルチャモビッツさんによると
植物が聞こえるとするに値する論文は存在しない。

モーツァルト
すぐに反論が来そうですね

そんなことはない
植物はモーツァルトを聞かせると良く育つ、と聞いたことがある。

そうです。
私もこの話を聞いたのは一回二回ではありません。
一般庶民の間では、常識となっている感がある

あと、聞いたことがあるのが
「綺麗だよ。素敵だよ」と植木に毎日声かけすると良く育つ。

正直、「植物はそこまで知っている」というタイトルから
当然こういった話は出てくるものと思っていた。
意外です。

「はじめに」に
「植物の神秘生活」のような内容を期待されるとそういう内容ではありません
と書いてあった。
この事だったんですね。

おそらくこの手の話は二つの本のいずれかから出ています。
レタラックの『音楽の響きと植物』
ピーター・トムプキンズとクリストファー・バードによる『植物の神秘生活』

クラシックと騒々しいロック音楽を聞かせて成長度合いの差を実験するというもの

ダニエルさんによると、実験方法が稚拙すぎ
サンプル数も5つ以内と少なすぎ
統計的分析とはとても言えないもの

当然学会から猛批判を受けます。

ただ、今まで紹介した、視覚臭覚触覚に関わる実験でも
最初発表された時は、猛批判を浴びています。

それでも地球は回っている、の例をみても
科学の発展ってそんな始まり方です。

決定的に違うのは
他の研究室で再現できていないということ

ただ、ダニエルさんは、この話をすると必ず受ける批判があるという

そんなこと言っても、植物が音楽を聞いていると考えた方が、すてきだと思います。

そうです。強力です「すてき」論
私のブログを読んでいただいている方はお分かりだと思いますが
私はどちらかというと「すてき」派です。
そっち側で生きてきています。

絵本に出てくる植物は、間違いなく人間の言っていることを聞き分けています。

問題は、すてきな世界と科学の世界とを切り分けられなかった事

新聞はこの科学の研究発表を「すてき」に発表し
読んだ人達は「すてきだわあ」と感動し広めていった。
そして定着してしまった。

でも、誤解ないように言っておきますが
研究発表が間違いだとは言っていません。
現時点では分からないだけです。
いつか、再現出来た実験結果が出てくれば、なんら問題ない訳です。


音楽となるから、ロック嫌いの人達に利用されてしまう事にもなります。
もっと、レベルを下げて、「音」に反応するかとなるとどうでしょう。

残念ながら、惜しいところまでは行ったのですが
分かっていません。

音のある環境と無音の環境での違いを実験して違いが出たことがあります。
でもその後のやり直しで、スピーカーの持つ熱で違いが出たことが分かってしまいました。

振動ならどうでしょう
音は必ず振動を伴います。
その振動が影響を与えるということはないでしょうか
風が強い環境では変化が見られる訳ですから

これも残念ながら、音があるないというほどの振動の違いでの変化では
実験結果は「変化なし」というものしかありません。

必要性
進化論という大きな学派では、必要性があれば進化するとなっています。
一旦その考え方をとるとして
そもそも、植物は音を聞く必要があるんだろうか

動物が音を聞く必要性は、その音に「反応」したいからです。
敵が近づいて来たという音を察知して逃げる、というような事です。
大体においてその対応は「動き」を伴います。

動けない植物は動物とは時間軸が違います。
つるを巻き付けていくとか、幹を太くするとか

勿論、ハエトリグサとかオジギソウの例もあるので
絶対とは言い切れませんが、大体において随分長い時間をかけての反応な訳です。
そんな中で、特定の短い時間の音を聞く必要があるのでしょうか
自分を食べようとした牛が近づいて来たことが分かっても
もうどうしようもないのです。

索引はこちら
[植物]シリーズはこちら(少し下げてね)


梅 緋の司

花カレンダー始めました

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