[天皇]25 武烈天皇。怖くてやる気がなくて。そして途絶えた。

天皇シリーズ

武烈(ぶれつ)天皇
小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわささぎのみこと) 498~506年 

仁賢天皇には、息子が一人だけ。武烈天皇です。
仁賢天皇が崩御すると
大臣(おおおみ)の平群真鳥(へぐりのまとり)は好き勝手し放題。
自分が天皇になろうとまで考えます。

皇太子(武烈天皇)のためだと言って、宮殿を作り
自分が住み着いちゃった。

武烈天皇がめとる筈だった影媛(かげひめ)
その前にもう、真鳥の息子、鮪(しび)と関係を持っちゃっていた。
鮪(まぐろ)と書いて、しびと読むんですね

武烈天皇が影媛を呼び出したその場所に
鮪が割って入る。
恐いですね。修羅場ですね。

古代の人は面白いです
こんな場面ですら、歌をやり取りするんです。

(お前は一体誰なんだ)という歌

(お前こそ誰だ。俺の女に手を出すつもりか)という歌

等々。
結局、その歌のやり取りで、影媛と鮪の関係が分かり、怒り心頭

その足で、大連(おおむらじ)の大伴金村の家に行き、
兵をあげて、鮪を討て。

大伴金村は、鮪を殺した。
ついでに、お父さんの平群真鳥まで殺しちゃった。
大伴金村からすると、平群真鳥はライバルですから。

可哀想なのは影媛。
心底鮪の事を愛していた。

青丹よし 奈良の峡間はざまに 鹿じもの
水漬く辺隠り 水灌ぐ 
鮪の若子を 漁り出な 猪の子
(あをによし ならのはざまに ししじもの
みづくへごもり みなそそぐ 
しびのわくごを せりづな ゐのこ)

奈良の谷間で、射殺された獣のように、
水がひた寄せる岸辺にひっそり斃れ、
水びたしになっている、鮪さん。
その屍を探し回って、あばき出すようなことはしないで、猪さん。

泣き暮らします。

暴君
日本書紀には、武烈天皇はひどい暴君のように書かれています。
妊娠している女性の腹を裂いて、中の赤ん坊を見たとか
手の爪を剥がして、その手で芋を掘らせたとか
高い木に登らせて、その木を根元から切ったとか。

ただ、現在は実際にそういうことがあったわけではなく
途切れた先の天皇を際立たせるために、
作り事を書いたんだろうというのが定説となっています。

政治はというと全くの無関心
大伴金村に任せきりで、遊びほうけています。

そして、在位7年にして崩御します。

途切れた
困りました。
武烈天皇には子供がいない。
雄略天皇が、ライバルを次々殺しちゃってからというもの
後継者難に苦しみ続けておりましたが
いよいよ完全に途絶えてしまいました。

天皇家は、神武天皇以来、万世一系とかいって、途切れずに続いていることになっておりますが
この時は明確に途切れたと言えるでしょう。

小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわささぎのみこと)という名前がそれをもの語る
小泊瀬は大泊瀬(おおはつせ)に対応するもので、雄略天皇の事
やはり暴君でしたのでね。

稚鷦鷯(わささぎ)は大鷦鷯(おおささぎ)即ち、仁徳天皇に対応するもの
仁徳天皇以来の血筋が途絶えたということ。

じゃあ次はどうするのか
大伴金村がなんとかするんですが
次の継体天皇については、シリーズの次回でね

[天皇]シリーズはこちら(少し下げてね)

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