[名僧]江戸時代の仏教。檀家制度と本末制度

名僧シリーズは江戸時代に入って数人紹介しました。

江戸時代って260年もあるので
色んなすごいお坊さんが現れて
こんな新しい考え方を広めて、となりそうだけど
どうも勝手が違う。

鎌倉時代はあんなに色んな名僧が出てきたのにね

宗派にしたって江戸時代に増えたのは前回紹介した黄檗宗のみ

理由があるんです。

檀家制度と本末制度
徳川家康には、三大危機というものがあって
そのうちのひとつが初期の頃の一向一揆との対決
浄土真宗本願寺派の巨大勢力に散々苦しめられた。
織田信長はもっと大変
それも見ているから、宗教が団結したときの手強さを身に染みて知っている

コントロールしよう

仏教は巨大すぎるので潰すのは無理
自分も浄土宗
「厭離穢土欣求浄土」(おんりえどごんぐじょうど)という浄土宗の言葉を馬印にしたほど。

キリスト教なるものを封じ込めるために使えないか

キリスト教は、あまりに未知過ぎて、徳川政権にとって、プラスなのかマイナスなのかすら分からない。
ひょっとすると巨大な敵になるかもしれないので今のうちに封じ込めよう。

徳川幕府のやり方ってとても面白い
キリスト教の弾圧はとても強固に徹底的にやったけど
逆に言うと高圧的なやり方はこれくらい

何かを守らせようとすると、交換条件を出したりする。

仏教の統制については檀家制度というのを持ち出した。

これから言うことは守ってね
その代わり、全国民仏教信者にしますから

はい?
幕府が勝手に一般庶民全部を仏教信者ってそんな無茶苦茶な。

今まで、自分の宗派の信者を広げるためにどれだけ苦労してきたか

教義を書いたものも、最初は漢文だったのを日本語で
できるだけひらがなを多くして読みやすくし
さらに、絵や彫り物で視覚的に表現し
念仏も「南無阿弥陀仏」だけで良くしたり
そういう布教のための努力って、宗教の根幹的部分

今、日本の仏教は13宗派
どれにするか、家の単位で決めてくださいね
一旦決めたら、末代までその宗派ですからね

届出してくださいよ
宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)に書きますからね

要するに戸籍で、その戸籍にどこどこの宗派と書かなきゃいけない。
無宗教は許されない。
何か大きな事をしようとすると今で言う戸籍謄本が必要
その戸籍謄本は市役所が発行するのではなく、お寺が発行
なければ、関所も通れないし、結婚も引越も奉公に出ることもできない。

宗教って教義があってそれに賛同する人が個人別に信仰するはず

庶民からするとそんなバカな
なんですが
お寺の方がこういう提案を受けたとき、拒否するかってことです。
何の努力もせず、未来永劫檀家からの安定的収入が確保でき
絶大な権限も得られる

よろしくお願いします
でしょう

その裏にあるのは、布教の禁止
管理上ややこしいから、宗旨変えなんてさせる努力はしちゃだめよ
そもそも意味無いですけどね
権兵衛さんに、南無阿弥陀仏が良いですよ、って話したところで
何をおっしゃってます?うちは代々南無妙法蓮華経ですよ。で、しまい

仏教全体がどっぷりぬるま湯に浸かる訳です。

本末制度というので、宗派別の本山となる寺を決めさせ
ピラミッド型でコントロールする

本質論からするととてもおかしいですが
難しいところですね

世界の歴史で現在まで行われている
宗教同士の争いみたいなのは一切無い
みんなお友達

ただ、その秩序を守るために
異質な宗教キリスト教は弾圧さぜるを得なかったし
鎖国は必要だった訳です。

そんな中でも
その仕組みに違和感を持ち
安定感すなわち閉塞感を打破しようという人はいるんです。

どうするか

仏教は仏教として置いといて
になるんです。

違うものを組み合わせる
ひとつには儒学です

ここで神社が出て来ないのが残念なところですが
儒学なんですね
敢えて儒教とは言わない

そもそも宗教という言葉自体江戸時代にはなく
誰も宗教というものを意識したことがないので
儒学でも儒教でも良いわけですが

言いたいのは仏教か〇〇教かという選択肢ではなく
仏教にプラスしてやっても大丈夫という「学問」というジャンルととらえる

朱子学を中心に、儒学の各派閥がああでもないこうでもないと
江戸時代260年の中でバトルを繰り広げます。

この儒学(儒教)なる存在
なんで、江戸時代には、仏教があるのに何かというと儒学なんだろうと不思議に思っていました。
大きなテーマなので、名僧シリーズが終わったら取り組んでみたいテーマです。

ただ、儒学はどちらかというと武士の中での話

もっと一般市民は?

民間でも活力のある信仰がいくつか。
その一例が、ブログの中で何度も取り上げている、富士講だったり
あるいは、ほぼ60年おきに大爆発してヒットするおかげ参りだったり
大山信仰だったり
太郎稲荷等の流行り神だったりします。

次回からまた人別の名僧シリーズに戻りますね

[名僧]シリーズはこちら(少し下げてね)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です