[天皇]61 朱雀天皇。モヤシっ子の傍らで新しい天皇

天皇シリーズ。

この天皇の時に、大事件、平将門の乱と藤原純友の乱が起きるんです。

朱雀天皇
930~946年

その前の、醍醐天皇は、菅原道真の怨霊に苦しめられ
完全にノイローゼ状態。
病は気からなので、病気がどんどん悪化していきます。

さらに、次期天皇である皇太子も、怨霊により亡くなります。
まずいっ、と交替した皇太子
(こうたいしたこうたいし、って面白いですね)
また亡くなります

3人目の皇太子、寛明(やすあきら)親王
えっ、次は僕なの? 恐いよお

お母さんの穏子も恐怖におののき
3歳までは、日中でも御座所の蔀格子は上げず、几帳の奥深くで
暗い中、灯りを灯しながら育った。

どこから怨霊がやって来るか分かりませんから。

イメージとして、やんごとなきお方は世間知らずというのがありますが
それどころではありません。
日光知らずです。

醍醐天皇は、死ぬ5日前に、寛明親王に譲位
朱雀天皇、9歳の時。

摂政関白の方は、怨霊で死んだ藤原時平の後、その弟、忠平が継いでいます。

忠平は元々菅原道真とは仲が良く
菅原道真が太宰府に行ってからも

どう
元気にしてる?
困った事があったら言ってね

と、連絡を取っていた。

祟りが自分には及ばない自信があるので
堂々と思ったような政治が行えます。

朱雀天皇になってからは、当然のように摂政
朱雀天皇が成人してからは関白となります。

モヤシっ子なので、いまいち意欲がない
忠平に任せっぱなし。

その忠平に仕えるため、
地方(関東)からある若者がやって来ます。

後の平将門(たいらのまさかど)です。
さあ、物語の始まりです。

吉川英治の時代小説「平の将門」を読みましたので
例によって、数回に渡って物語仕立てで書いていきたいと思います。

ただ、今回のテーマは朱雀天皇。
この、天皇制崩壊の大ピンチ
しかも、平将門の乱と藤原純友の乱の同時発生という事が起きた背景についてお話しましょう。

漫然
平安時代の最初に、桓武天皇が始めた、
天皇の子供をいっぱい作って
跡継ぎ以外は、平や源の姓を与えて臣籍降下というシステム
いつかは、平や源が団結して藤原に対抗するという
とても長期的展望

一方の藤原も負けじといっぱい子供を産むので
平、源、藤原は倍々ゲームでバンバン増えていきます。

中央では人材を受け入れるポスト不足が深刻化
地方の国司(今で言う県知事)として生きる道
ただそれとて限られた人数。
どうする?

二つの方法があります。
ひとつは国司巡り。
国司には任期があるから、その任期中に任地の庶民から絞り取り
たんとお金を稼ぐ
そして、中央の一握りの実力のある藤原氏に賄賂を送り
次の赴任地に行かせてもらうという事を繰り返す。

もうひとつは、戻らない。
任期中に、任地で人を使ってバンバン土地を開墾
任期が切れて、本当は戻らないといけないんだけど、戻る事を拒否して戻らない。
拒否したら国司を続けれるという訳ではありません。
新しい国司がやって来ます。
でも、そんなん知らんがな、と
そのまま、自分が開墾させた土地から収入を得続ける

不思議ですね
なぜそんな事が可能なのか。

国が軍隊や警察といった力で従わせる機能を放棄しちゃっているんです。
天皇を中心にした、お公家さんの世界では、
穢れやたたりを恐れるがあまり
自ら剣を持たなくなった。

相変わらず、政争には明け暮れるのに
政敵をやっつけるためには、アウトローな、やくざ的な人の手を借り
自ら手を下さない。

自分が開墾させたかどうかなんて関係無く
その国の土地は、国家のもの
だから、新しい国司に取り締まる力があれば、こら返せ、と捕まっちゃう
でも中央の朝廷がそれをできない。

戻る事を拒否した、元国司が、武器を持ってしまえばこっちのもの

中央政府は良く言えば平和主義なんだけど
悪く言えば怠慢
無法地帯と化していく訳です。

一握りの中央の支配者を除き
土着の、武器を持った、平、源、藤原のあぶれた人たちが
後に武士と言われる人になっていくのです。

もちろん最初はそんな落ちぶれた人たちが十分な武力を持っていた訳ではありません。
少しずつ武力を蓄えて行き
考えとしても、穢れやたたりに対し
そんなの知るかよ、という割り切りを出来るようになり
中央政府に実力で対抗できるようになった時期がこの頃なんです。

平将門であり、藤原純友なんです。

[天皇]シリーズはこちら(少し下げてね)

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