[歳時記]10/30 アメリカに火星人が襲来した日

「おもしろ歳時記」からのシリーズ

10/30
1938年10月30日「アメリカに”火星人”が襲来した」と大パニックになった

ラジオからの臨時ニュース

「巨大な宇宙船がニュージャージー州に落ち、
内部から火星人が出てきて殺人光線銃を打ち始めました」

えらいこっちゃ

各都市から避難する人びとの群れ
ニューヨークでは郊外に向かう避難者の列で大渋滞

ショックで入院した人

なんと自殺をはかる者まで出た

お騒がせの元になったのは、BSラジオの臨時ニュース。

音楽放送が突然中断し、アナウンサーが興奮した口調で、
火星人襲来のようすをリアルに速報した。

それを聞いた聴取者はすっかりホンモノのニュースだと信じ込み、あわててハイウェ
イを車で逃げ出すなど、アメリカ全土が恐怖に包まれた。

このニュースは完全なフィクションで、真実ではない。
「火星人襲来」という番組の中での出来事だった。

「火星人襲来」という番組の中だったら、フィクションだって分かりそうなものですが
それを上回る巧妙な演出があったと思われます。

当時は、今ほどUFOや宇宙人の存在がマスコミに取りあげられることはなかったため、
こうした情報に対する免疫がなかったのもあるでしょう。

この番組を仕掛けたのは、
後に俳優、映画監督として知られるようになったオーソン・ウェルズ。

ニューヨークで劇団を結成して演劇活動をしていた彼は、
SFの名作であるH・G・ウェルズの「宇宙大戦争」を原作にこの番組を制作。

自らが演出にあたり、
荒唐無稽なSFをリアルな実話に飾り立てたのだ。

お騒がせの事件を起こしてさぞやおとがめを受けたと思いきや
この演出によって、当時23歳だったウェルズは
たちまち「天才演出家」「神童」ともてはやされるようになった。

そして、劇団ごとハリウッドに迎えられたのだ。

やがて、彼は自作自演の「市民ケーン」で衝撃の映画デビュー。

その後も問題作を次々に世に送り出した。

ニュースというものについて
どうとらえ、どう行動すべきか

送り手にも、我々受け手にも再考すべき出来事だろう

特に今、単純な受け手だけでは終わらない。
インターネットの発達は、名もなき一般人が送り手になっている

火星人が来襲したら逃げるよりは会いに行きたいなあ
もし、友達になれたら
無茶苦茶自慢できますよね

[歳時記]シリーズはこちら(少し下げてね)

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