ルールって破ってもいいんです

私は大学は法学部です。
司法試験を受けようと思っていたので、法律はかなり気合いを入れて取り組みました。

その中で、法律に対して、えっ思ってたのと違う、って奴を紹介します。

裁判には大きく分けて民事と刑事があります。
民事って争う両方が民間
片方が裁判官に私の言い分の方が良いでしょ、勝たせてよ
と言ったら、もう片方が
なにゆうてまんねん。こっちでしょ。

刑事は、
片方が国家権力
ある人を罪に問うかどうか

今回お話しするのは、その民事の方の大原則です。

挙証責任
民事の裁判ってどうするんですってのが書いてあるのが民事訴訟法
それを学問しているとき、
挙証責任(きょしょうせきにん)なる考え方に出会って、度肝を抜かれた。

ほんまかいな。
法律ってそういうことやったんか

権利や義務って有るか無いかで、そいつを書いてあるのが法律だと思っていた。
違ってました。
法律に書いてあるのは挙証責任なんです

どっちを勝たせるべきか分からない
AさんとBさんが裁判で争っています
さあ、判決が出ます。
Aさんの勝ち

裁判官はAさんの主張の方が正しいと分かったから、Aさんの勝ちにした
と思うでしょう

もちろん、そういう場合はあるんですが
全てがそうとは限らないんです

挙証責任がBさんに有るのに、それを覆すだけの材料をBさんが出せなかったからAさんの勝ち
そういう場合があるんです

裁判官って、実は最後までどっちを勝たせるべきか分からないって事が、結構あるんです。
いわゆるグレーゾーン

そんなときに、分からんから無かったことに、とは言えず、引き分けとも言えないのが民事裁判なんです。
刑事の場合は決まってるんです
疑わしきは罰せず。
グレーゾーンは無罪です。

民事のグレーゾーン。どっちかを勝たせなきゃいけません
実は最初から、今回の裁判、グレーゾーンだったらどっちの勝ちね、と決まっています。
挙証責任とは、字だけ見ると、証拠をあげる責任がある人、みたいに思われるかも知れません。
実はそうではありません。
グレーゾーンならあなた負けますよ、頑張ってね
なんです。

それってどうやったら分かるの
それを書いてあるのが「法律の条文」なんです

Aさんの主張を色んな法律に照らし合わせて行きます。
これにもあたる、あれにもあたる。
合計権利が8個
Bさんは合計権利が6個
挙証責任はBさんです

Bさん頑張りましょう。
グレーゾーンじゃなきゃ大丈夫。
一生懸命主張します。
うん、Bさんの主張、良さそうだ。
グレーじゃないぞ

そうなると、Aさんも頑張ります。
Aさんはグレーゾーンにさえ戻せば良い

ってのが裁判なんです。

ここから何が言えるのか
実は世の中の法律だのルールだのってやつは破っても良い
日報を出しなさいとか、遅刻はしちゃいけないだとか
そんなルールは、実は「守らなければならないこと」ではないんです。

単に挙証責任にすぎない

電車の中で目の前に急病人。
関わってるとおそらく遅刻

でも、ルールなんてものは、単に挙証責任
堂々と看病しましょう。
病院まで付き添ってあげましょう
挙証すればいいんです。
グレーにしない説明を堂々とすればいい

挙証する自信がないときだけ守るのがルールです。

私に部下だの後輩だのがついたら、ルールを色々説明します。
でもそのあとに、挙証責任の話をちゃんとします。

今言ったルール、破れよ
でも、ルールである以上、挙証責任はあなたの側に有る
破って、そのあと、堂々と挙証せいっ

ルールを説明されたあと、破れと言われたことが無いので、不思議そうな顔をしますけどね

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