[ことば日本史]一所懸命に一生懸命

ことば日本史、鎌倉時代から

一所懸命
中世の武士は、おのれの本領を守ろうと命がけで戦った。
本領とは、将軍家への奉公によって恩給された「恩地」とはちがい、御家人が先祖から
代々受け継いできた所領のことである。

それは平安時代以来の在地領主がみずから開発した所領田畑がもとであり、
分割相続の対象にはされず、嫡男、惣領に受け継がれていった。
武士は、その本領を鎌倉殿から安堵されて、御家人となる。

この本領が「一所懸命の地」だった。

これがやがて、一つのことに命がけでとりくむ態度をさすのに転用され、
その意味に引きずられて、一生懸命とも表記されるようになった。

土地という財産
大学の時、法律の先生に、土地という財産はあらゆる財産の中で極めて特殊な
有限の資産だと習ったことがある
どうやってもトータルで地球の表面以上にはなりえない
それを分け合うことになる

生産や生活の拠り所なので、全ての基本
今は「所有権」を国家が保証してくれるが、そんなことはごく最近で
長い歴史の間は、実力で奪ったり守ったりの世界だった

日本史を勉強していくと
土地の所有の仕方、保護の仕方の歴史だなあと思う

自分の得ている既得権を守るためどうするか
どういう人に守ってもらうか
一所懸命の歴史だったと思う

びっくり
「一所懸命」って私の中では衝撃のワード

あれは小学校だったか中学校だったか
先生が黒板に「一所懸命」と書いて
みなさんは「一生懸命」だと思っていると思いますが
実は「一所懸命」が正しいんです

ことばの意味や歴史を教えてくれた。

あまりに衝撃だったのでようく覚えている

今まで「一生懸命」頑張ってきたのに
本当は「一所懸命」頑張るべきだったなんて、そんなバカな
私の人生を返せ!

まあ、そのあと、歴史の始まりは一所懸命でも
一生懸命に相当することばは今や「一生懸命」になってしまっているので
一生懸命が正しいと分かり、やすらかな日々を送れています

ただ、あの衝撃は今でも強く残っているので
「一生懸命」と書きたいときは
一旦「いっしょけんめい」変換、ってやって「一所懸命」を出し
バックスペースで消してから「一生懸命」に変えたりしています
あの時の先生に対する敬意です

[日本語]シリーズはこちら(少し下げてね)

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