[天皇]102 後花園天皇。漢詩でいさめる

天皇シリーズ

後花園天皇

崇光天皇の系列か、後光厳天皇の系列か
交互にという約束は反故にされ、後光厳系が後円融、後小松と続ける
さらに後小松は後光厳系を確固たる既成事実にすべく、早々と息子の称光天皇に譲位
称光天皇は病弱でその息子がいなかったため、弟の小川宮を皇太子とする

ところが、小川宮が亡くなっちゃった
よっしゃ、チャンスとばかり動き出したのが、旧南朝系
南朝も、北朝南朝交互にという約束を反故にされている
京都に何かと歯向かっている鎌倉公方と近づいた

こりゃまずい、と後小松
南朝にやられるくらいなら、と崇光系の貞成(さだふさ)を自分の猶子(養子のようなもの)にした

怒ったのが称光天皇
まだ私に子供ができないと決まったわけでもないですよね

これに、まずい、と思った貞成
せっかくのチャンスではあるけれど、ここは一旦引かないと命が危ない
出家して、野心のないことを示す

大丈夫
称光天皇に子供ができる気がしない
となると、私の子供の代にこそ

案の定、称光天皇に子供ができないまま危篤状態
将軍、足利義教が動いた
貞成の子、彦仁を後小松の猶子にせよ
そのまま、称光天皇は亡くなり、後小松の猶子として彦仁が践祚
後花園天皇となった

後小松の猶子になったわけだから、後花園は後光厳系との位置付けのはず
だが、将軍義教は、後小松ではなく、後花園のお父さん貞成を優遇した

後花園は一体どっち系?

微妙なこの問題に決着が着く時期がやって来た
後小松が亡くなったのだ

本当の子なら、喪に服さなければならない
猶子の場合はケースバイケース
喪に服したならば、後花園は後光厳系となる
喪に服さなければ、崇光系

五分五分だなあ、決めかねる
こういう時の解決策として行われるのが八幡神社の神様の前でくじ引き
出ましたっ
義教が選ばれた時のあのやり方
神様が決めたことになるから負けた方にも言い訳が立つ

ハイッ
「喪に服す」

ただ、相変わらず、将軍義教は、貞成を優遇し
事実上の上皇的に扱った

ここで両系統に面目が保たれることになり
長く続いた対立はおさまることになる

義政に
後花園は、後土御門天皇に譲位し、院政を開始

将軍は、義教が嘉吉の乱で殺され、義勝を経て、義政となる
大きな傾向として、政治は将軍、文化は天皇ではあるものの
後花園天皇は、義政に漢詩を引用して手紙を送っている
大飢饉があり餓死者が大量に出た
にも関わらず、義政は贅沢三昧だった

殘民爭採首陽薇
處處閉爐鎖竹扉
詩興吟酸春二月
滿城紅綠爲誰肥

飢饉の中かろうじて生き残った民は食べるものがなく、まるで首陽山で餓死した伯夷叔斉のように野草を争い採って食べている
どこの家でも囲炉裏に火はなく戸も閉じたままだ
おりしも春たけなわ、詩興をもよおしはするが、いざ詩を吟じても辛く苦しいばかり
この都の街いっぱいの花と緑は、いったい誰のために生い茂っているのか、楽しむ者もいないというのに

真面目な後花園は院政を行っていたが
応仁の乱が勃発すると
自分の無力さを感じて、出家してしまう

[天皇]シリーズはこちら(少し下げてね)

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