秋の田のかりほの庵(いほ)の苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)は露にぬれつつ
おそらく一番良く知られている歌
何故なら第一首、一番目の歌だから。
ようし、百人一首覚えるぞ、となるとこの歌から覚え始め
途中で諦めちゃったりする。
いやあ、知らなかった。
この歌が、まさかあの、天智天皇の作だとは。
天智天皇
天皇の中でも5本の指には入るでしょう。
まあとにかくすごい人
何せ中臣鎌足(なかとみのかまたり)とともに大化の改新というクーデターを成功させた、
中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)こそが後の天智天皇。
天智天皇はとても不思議な人で、
クーデター後すぐに天皇になると思いきや、なかなか天皇にならない。
あまりに謎なので、
理由について、かなりいっぱい説がある。
面白いのでいうと
弟のはずの天武天皇が実は兄だったから、というのまで。
根拠は天武天皇の方が年上だから。
ちょっと待ってよ、それなに?
年上だったら、そりゃ兄でしょ。
ここ、いったんスルーするけど
この兄弟のバトルはどれだけ続くか
天智天皇が死んだ直後、天智が選んだ次の継承者、息子の大友皇子を殺したのが弟(天武天皇)。
壬申(じんしん)の乱
そして、その後も、天武天皇が死んだ後もずっと、
天智派と天武派のバトルは続くのです。
天皇になってからは何をしたか。
大津宮遷都。
水時計を作ったので、6月10日が時の記念日。
朝鮮は百済(くだら)に救援軍を送り、白村江の戦いで唐と新羅(しらぎ)の連合軍に大敗。
歌の意味
実りの秋の田に設けられた仮小屋
お粗末な苫ぶきなのだが、苫の編み目も粗いので
そこにこもって番をしている私の衣の袖は、
はげしい夜露にしとどに濡れて、
まんじりともできない事である
解説
かなり歌として綺麗な良い歌なんだとか
の、が、4つも続いたり
でも、でも
違和感だらけ
ちょっと待ってよ
天下の天智天皇、高貴もなにも。
なんでお粗末な苫ぶきの仮小屋で番をして
まんじりとも出来ないって
いくらなんでもおかしいでしょ
これは、労働歌です。
刈り取りの作業は最も忙しいので、仮小屋を作って寝泊まりするのは
農家ではよくあること。
ああ、大変だなあ。
でもここをのりきらねば。
頑張るぞっ、て歌。
天皇が、頑張る必要がない。
解説の橋本先生も、これは天智天皇の作ではないでしょうと。
栄えある一つ目の歌が、違うでしょう、って事なのね。
300年の時を経て、これを天智天皇の作といたしましょう、と
天智天皇は民の気持ちの分かる良い天皇だったんですよ。
なんつったって有名人ですから、第一首とすることに異論はありませんね、皆さん
という事なんでしょう。
だとしても、もうちょっとそれっぽい歌にした方が良かった気はしますが。