60年周期で江戸時代に3回おきたおかげまいりの話はしました

今日は、その変化形、ええじゃないかです

ええじゃないか
ええじゃないかは、慶応3年（1867年）8月から12月にかけて、
近畿、四国、東海地方などで発生した

おかげまいりのように、集団的狂乱が起きるわけですが
おかげまいりと、ええじゃないかは名前が違うように
いくつかの点が違っています。

お伊勢参りではない
おふだは、おかげまいりと同じようにあちこちで降りました
でも、そのお札はお伊勢さんのお札ではなく、もよりの神社のお札
だから、お伊勢さんには行かないでも良い
おかげまいりの時に起きた、踊りという要素
これが必須

ええじゃないか、ええじゃないかと言いながら踊りまくる
約一週間踊りまくって、沈静化する
その間は完全に日常生活が停止する
そして、次の地域に伝播していく

おかげまいりよりは期間が短いとも言えるけど
一週間、みんなで日常生活ほっぽらかして、朝から晩まで踊りまくるんですよ

もし今、町内会で
面白そうだから、みんなでええじゃないか踊ってみない？
と決めたとして
一週間もちますか
決めたんだから頑張ろうよって、必死になっても
一時間が限度でしょう。

これ、すごいことだと思いません？

性的解放
最後のおかげまいりでは卑猥な要素がつけ加わりましたが
ええじゃないかは、その要素がかなりフューチャーされる

既婚の男女も誰かれ構わず、まぐわってよい
ええじゃないか、ええじゃないかと言いながら

正直、ここが一番理解しがたいところなんだけど

60年周期ではない
最後のおかげまいりから60年経っていない
うわあ、どうしよう
幕末になっちゃったよ

明らかに、おかげまいりは、意識はされている
うーん、ちょっと形変えようか

気になって仕方ないこと
ええじゃないかに関連して、色々書いてある中では、誰一人気にしていないんですが
関西人の私としては、
気になって仕方ないことがひとつあります。

「ええじゃないか」という言葉に対する違和感です。
少なくとも、私の産まれ育った兵庫県では、ええじゃないかは使わない
絶対かと言われると、使うこともないではないけど
基本的には、「ええやないか」

ええじゃないかが起きたのは関西と四国
江戸には至っていないし
東海地方で起きた同種の現象は「ええじゃないか」のうたい文句は使われていない
とすると、完全に関西弁な筈

なぜ若干違和感のある「ええじゃないか」を、わざわざ使ったのか
ええやないか、が持っているニュアンスと若干違うことを言いたかったんじゃないか

ええやないか、はその次に言外に、そんなもん、がくっついている
そんなしょうもないことにこだわんなや
がニュアンスです。

確かに色んなしがらみから解放され
どうでもええやないかと、踊りまくる
ニュアンスとして何も間違ってはいないんですが
さらに、言いたい「あること」をプラスしたかったんじゃないか

ちょっと別の話してから
もう一回戻ってきますね

なぜ？
最大の疑問です

極めて特殊なこの時期に、なぜこういったことが起きるのか
おかげまいりよりは、若干意図的なものを感じます。

倒幕派がしかけたんじゃないかという説もある

でもなあ

もう一回時期を整理しましょう
慶応3年の8月から12月です。
大政奉還は、そのちょうど中間、10月12日です。
はっきりいって、もう決着はついている

何かの目的で民衆を扇動する必要が有るとは思えない

民衆の気をそらせたかったという説もある
民衆が狂喜乱舞して、気をそらせたことになるんだろうか

私の意見です。
誰かにやらされたんじゃなく、やりたかったんじゃないか

おかげまいりは、フラストレーションの爆発だったと思う

ええじゃないかは、かやの外におかれた民衆の
不満が爆発したという説もあるんだけど

私はもうちょっと、良い風に解釈したいと思うんです。

さあ、戻って「ええじゃないか」の言葉の意味です

いくつか、歌の歌詞を紹介しましょう
「今年は世直りええじゃないか」
「日本国の世直りはええじゃないか、豊年踊はお目出たい」
「長州がのぼた、物が安うなる、えじゃないか」

（もう）ええやないか、は、ふてくされた感じがする
ええじゃないかは、ええ（こと）じゃないか、の略じゃないだろうか

お祝い

なんか分からんけど、世の中が良うなりそうや
うれしいやないか、たのしいやないか
ええ（こと）じゃないか、ええ（こと）じゃないか
ええじゃないか、ええじゃないか

一緒にお祝いさせて、おくんなはれ

不満の爆発ではなく、喜びの爆発

そして、このエネルギーそのままに
明治維新の文明開花に突入したんじゃないだろうか

だから、あそこまで極端に短い期間で大発展を遂げれたのではないだろうか