[百人一首]57 めぐりあいて。最高峰、紫式部

めぐりあいて 見しやそれとも わかぬまに
雲隠れにし 夜半(よわ)の月かな

久しぶりに会ったけれど 見分けもつかないうちに雲隠れした
夜中の月のように たちまち去っていってしまったなあ

紫式部
百人一首、このあたりは有名人のオンパレードですと
言っておりましたが
いよいよ、そのなかでも最高峰
知らない人はいませんね

紫式部
源氏物語の作者ですね

2000円札でも有名です。

随分昔に途中まで読んだだけですけど
みなさん、どの辺りが印象に残られてますか
私は、末摘花のところ以外一切記憶に残ってない
逆に言うとそれくらい強い印象でした。

末摘花
大輔の命婦(たゆうのみょうぶ)という女房が、
今は亡き常陸宮(ひたちのみや)に一人娘がいることを源氏に話す。
彼女、末摘花(すえつむはな)は心細く暮らしており、
誰とも会わず琴だけがお友達

そんな話を聞いちゃうと気になって仕方がない光源氏

こっそりと、琴の音を聞きに行く

下手ではないけど
取り立てて、人の心を打つというほどのものではない

逆にそれが気になるんですけど。

人の気配を感じて振り替えると、
恋のライバル頭の中将

光源氏の様子がおかしかったので
後をつけてきた。

頭の中将もその時初めて琴の音を聞いただけで
顔も見たことないけれど
ライバル心に火がつく

光源氏も頭の中将も、手紙攻勢
でも、極度の恥ずかしがりの末摘花は既読スルー

何ヵ月もその状態

もう我慢できない。
大輔の命婦に言って、とにかく会わせてくれと。

障子越しに対面したが、末摘花は何の言葉をも発しない
あまりの無反応ぶりに痺れを切らした源氏は、
障子を開けて中へ入ってしまう。

一晩過ごすんだけど
どうにも腑に落ちない
女性と夜を共にした気がしない。

気持ちが乗らないけど
歌を送る
初めて、返ってきた返歌
これがまた
歌の内容も、字も
ひどいのなんの

そのあと、紫の上と暮らすようになって
末摘花とは縁遠くなる

でも、このままって訳にも行くまいと
訪ねていく。


雪の降った後の雪明かりで明るい中で
末摘花の顔を見た

ぎょえーっ
不細工。
それも並の不細工さではない
鼻の頭は真っ赤で高いくせに垂れて象のよう。

徹底した醜さに
色恋関係無く
面倒を見たくなってくる
様々な品を何かというと贈るようになる

末摘花も極貧だったのが
ある程度生活も安定し
極度の人見知りも少し解消されていく。

どうですか
というあらすじなんだけど
衝撃を受けましたね
なんという物語なんだと。
それ以降、源氏物語と言えば末摘花を思い出す。
ただのプレイボーイという印象が一気に覆った。

紫式部
平安文学の最高傑作
別格の実力でありながら
性格は内向的。
子供の頃から超天才で中国の書物も楽々読みこなしていたというから
実際の人付き合いではなく
文学の世界にその才能の限りを出し尽くしたのかも

源氏物語の評判は、
当時の政界のナンバーワン、藤原道長の聞き及ぶところとなり
娘の彰子(しょうし)の女房として宮廷に出仕することとなる

出ましたね彰子
どれだけ有名人を集めるねん

その時の話が後に紫式部日記となり
まあ、赤裸々に

鑑賞
さあ、この歌です。
久々にあったのに、あなたはあっという間に去っていったのね
恋の歌かと思いきや
相手は女友達なんですって。

彼女は女友達がとても多かった。
その付き合いの中から、文学的素養を育んでいったのかも知れません。
同性の女性を思っての歌って初めてですね。
なんだか新鮮です。

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