[百人一首]63 今はただ~ ただ会いたいだけ

今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで いふよしもがな

今はただもう、「君のことはきっぱりとあきらめたよ」ということだけを、
人づてでなくて、じかに君に会って言いたいのだけど、
それさえも叶わないのだろうか

鑑賞
超豪華シリーズ終わっちゃいましたね。

まだまだ、続くのにどうしましょう
超豪華シリーズの次の人はきついよね

と思っていたら
さすがは藤原定家。
そんな手を使ってきましたか

藤原道雅
藤原道雅(みちまさ)は藤原伊周(これちか)の息子
出ましたね、伊周

そうです。
清少納言の仕えた定子のお兄さん。
それだけで分かりますね
藤原道雅がどんな人生を歩んだか

日陰の人生です。

道雅が恋し、相思相愛になった相手
それは、三条天皇の娘、当子(とうし)内親王
神に仕える斎宮の身を退いたばかり。
斎宮の間は、恋愛など許されないのだけれど
退いたのだから、形の上では問題ないはず

相手が悪かった。

完全にロミオとジュリエット状態

姫君16歳、道雅26歳。

三条天皇の逆鱗にふれ
うちの大事な娘に近づくことも許さん。

四六時中監視をつける。

ああ、ロミオ
あなたは今いずこに

道雅は何も悪くないのにね。
生まれた時代、生まれた家、そして恋した相手がほんの少し違っていた。

引き裂かれた二人

ただ、ただ会いたいだけ。

ありとあらゆる手段を講じて
試みても試みても、何ともならない。

そして、最後に至った気持ち。

姫君が苦しまないよう

私はあきらめました。
姫もあきらめてください。

これを
せめて
人づてでなく、直接会って言いたい。

諦めると言うのだから
絶対にそれ以外は言わないから
それでも会えないのだろうか

当子内親王
その後、当子内親王は落飾して尼になる
そして、その数年後若くしてこの世を去ってしまう


道雅は歌人ではない。
歌なんて作ったこともない。
ずぶの素人。

藤原定家恐るべし

超豪華シリーズのあとをはれるのは
この歌をおいて他にないだろう。
オールスターキャストだと思っていた百人一首の
この場所にこの歌を置くのか

これはもう、歌ではない

叫びであり
ため息であり

道雅の人生の
ありったけ

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