[百人一首]68 心にも~

心にも あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな

(今の苦しみがもっと深まるのではないか、いっそのこと早くこの世を去りたいものだ─こんな)自分の本心にさからって不本意のまま心ならずも、つらいこの世を生きながえるようなことになったならば、この美しい夜中の月はどんなにか恋しく思い出されることだろう。

三条院
出ましたね、三条天皇

今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで いふよしもがな

の藤原道雅と
当子(とうし)内親王の恋を引き裂いた、当子内親王のお父さん。
[百人一首]63 今はただ~ ただ会いたいだけ
わからず屋のお父さんで嫌な奴
と思いきや

三条院は三条院で
悲しい人生を送った。

藤原道雅の父伊周(これちか)をそんなに嫌いだったということは藤原道長派?
実はそうではない。
三条天皇は道長の娘婿ではあるが、
それまでのように道長の言われるがままにはならなかった。

ことあるごとに嫌がらせをする

不幸も続いた。
在位4年なんだけど
その間に内裏が2度も炎上した。

そして病気が鞭打った
健康状態は悪化し、何よりも眼がどんどん見えなくなっていった。

退位しよう。
自分の子供小一条院も、その時皇太子ではあったのだが、辞退。
道長の思い通り
道長の孫である、先帝の子後一条天皇に譲位する

鑑賞
毎日寝るときに、自分にご苦労さんと言う。
このまま、安らかに眠り目覚める事はないだろう

でも

今日もまた目覚めてしまったのか

その繰り返し。

ある月の綺麗な夜
まだ幼い禎子(ていし)内親王の髪を撫でながら月をめでる
(禎子内親王は先に亡くなった当子内親王の母の異なる妹です)

今日は、きれいな月だなあ
ほとんど見えなくなった私の眼にもかすかに見える。

たとえもう少し生き永らえてしまったとしても
もう月を見ることは出来まい。

ようく見ておこう
あの時の月は美しかったなあ
そう思うだろうこの日の月を。

その一ヶ月後に譲位し
翌年崩御します。

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