解体新書、ターヘルアナトミア その2

解体新書、ターヘルアナトミア その1
今日はその続きです。

翻訳
解剖の翌日、3月5日から、翻訳作業に取りかかります

実は、話を分かりやすくするために登場人物を三人にしましたが
翻訳作業に関わった人はもうちょっといるんです。

前野良沢は、オランダ語で多少先行しているので、リーダーになります。
とはいえ、ボリュームが尋常ではなく、専門用語ばかりなので
今までの知識では全く歯がたちません。

みんなが集まれるのは江戸なので江戸で作業をするわけですが
ということは、長崎にいる吉雄耕牛先生とかにお聞きする事も出来ません。
もちろん辞書もない。
前野良沢以外は、オランダ語は「はじめまして」状態
作業は困難を極めます。

そもそも、体の中のものは日本人は見たことありませんので
日本語はついていません。
さあ、これはどういう日本語をつけようかと、そこから。

「神経」「軟骨」「動脈」「処女膜」などの言葉を作り出しましたが
今も使われていますね。

それにしても、よくやろうと思いましたね

途中で、杉田玄白が泣き言を言い出します。
こりゃとても無理だ
みなさん頑張って下さい。
私は寿命も尽きて、草場の陰から見守らせていただきます。

草場の陰さんとあだ名を付けられてしまいます。
陽気で社交的な浜ちゃん的性格ですから。

それでも、2年近く頑張って

解体新書完成ー

ターヘルアナトミアだけじゃなく
色んな西洋の医学書からも取り入れています。

序文を吉雄耕牛が書いています。

前野良沢は完璧主義者なので

結構誤訳があるんだよなぁ
もうちょっと品質あげてからにしたかったと
著者の中に名前を入れるのを断った。
杉田玄白の逆で、あんまり前に出たくないタイプ

解体新書の改訂を、弟子の大槻玄沢に頼み
重訂解体新書、が出来る
良かった良かった

杉田玄白は、もういいやとオランダ語の勉強はやめてしまいますが
前野良沢はさらに没頭
いっぱい本も書くんですが
不思議なことに、それを世に出していない

解体新書も、携わっていない事になっているので
これだけの人が、一冊も世の中に出していないことになります。
こりゃまたなんとも

私は、重訂解体新書も、本当はかなり前野良沢が書いたんじゃないかと疑っています。

中川淳庵もオランダ語を更に習得
翻訳医学書をもう一冊書きます

杉田玄白は、解体新書を自分が中心になって書いたことになっていますので
超人気者になります。
杉田玄白は、晩年にその時の苦労話を
蘭学事始という本にまとめて、もうひと稼ぎ

嫌な奴?
いえいえ、蘭学事始で
前野良沢をベタぼめしたあとで
実は前野良沢がリーダーでした、と暴露しています。

良いとこあるじゃん

前野良沢は前野良沢で
シャイなもんですから
杉田玄白の事を頼りにしてます。

今度、オランダ語を習いに、ある先生のところに行きたいんだけど
ついてきてくれない?

持ちつ持たれつの仲良しさん
イソギンチャクとクマノミみたいなもんです。

うちの娘で言うと
長女は100%杉田玄白
生まれ変わりかも知れません。

次女は両面持っていますが
6:4で前野良沢かな

大反響で、弟子志願が殺到
前野良沢も、杉田玄白もいっぱい弟子を育てて
このあと、飛躍的に医学が発展していきます。

索引はこちら
[江戸の理系力]シリーズはこちら(少し下げてね)

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