楠本イネ、壮絶なる人生

江戸の理系力シリーズです。

割り込みいっぱい入っちゃいましたけど
医学に戻りましょう。

医学での前の回はシーボルトでしたね
今日は、その娘さん

楠本イネ
くすもといね 医学者 1827~1903

日本初の産婦人科女医です。

イネはお滝さんとシーボルトの娘
イネが2歳の時、あの悲劇がおきます。

日本地図持ち出しが発覚し、国外永久追放
お父さんとの思い出ってほとんど覚えていないでしょうね。

シーボルトは弟子の二宮敬作に、イネの事をくれぐれも頼んだよ、と言い残して行った。

二宮敬作については多少説明が必要です。
二宮敬作はシーボルトの塾、鳴滝塾の数多い有名な弟子たちの中でも
かなり早い時期に弟子入りした一人。

極めて熱心で、シーボルトもその才能を認めていた。
でも、ある日

すみません先生
塾をやめて、田舎に帰りたいと思います。

そりゃまたどうして

お恥ずかしい話ですが
もう長崎に滞在していられるお金がありません

そうなのか
それが理由とは、あまりにつらい
どうだろう、私の身の回りの世話をするという、仕事をしてくれないか
そうすれば、お給料を出してあげる事だって出来る

以降、二宮敬作はシーボルトの元で働きながら勉強する

二宮敬作はシーボルト事件で連座で逮捕されるが
やがて釈放

頼まれた通り、イネの面倒を見る
新しいお父さんのよう

2年後
お滝さんは、年下の楠本新兵衛
好人物でイネの事をとても可愛がります。

三人目のお父さんだね

だから楠本イネなんですね

当時、混血児っているわけないので
かなり奇異な目で見られたでしょうが
周りのみんなに愛されながら
育つことが出来たんですね

19歳
イネが19歳になって、ずっと考えていたことを実行するため
宇和島に行きます。

宇和島では、二人目のお父さん、二宮敬作が
開業医となっていました。

お父さん
私、お父さんのように医者になりたい

それは私としても嬉しいし
シーボルト先生もさぞやお喜びになることだろうが
女性で医者とは
全く考えたこともなかった。

それから、イネは二宮敬作の元で、医学を学びます。

しばらくして

色々考えたんだけど
私の専門、外科医となってくれると嬉しいんだけど
女性で医者というのは、世間に無いだけになかなか難しいこともあるだろう。
一つ
むしろ女性であることをメリットとして活かせる分野がある気がする
産婦人科はどうだろう

なるほど言われる通り

石井宗謙
シーボルトの弟子であり、岡山で産婦人科医を開業している
石井宗謙のもとを訪ね、弟子入りする。

勿論、石井宗謙も大歓迎

これでシーボルト先生に恩返し出来る。

宗謙は持てる知識の全てを伝授し
イネもそれに答えた。

6年と8ヶ月に及ぶ

ところが
途中から、宗謙にとって苦痛の日々に変わる

イネが美しすぎた。
ハーフですし。

残念ながら、若いときの写真が残っていないんですが
後で、その娘さんの写真を乗せますんで、そこから察してください。

恩師の娘、恩師の娘
自分に言い聞かせ続けるのだけれど
どうしようもなくなってしまった。
ある日、犯してしまう。

それならそれで、方法があったでしょうに。

尊敬して止まない大先生が突然の豹変

やがて妊娠したことが分かる

ただ、当時堕胎の出来る医師は石井宗謙しかいない。
宗謙に頼む訳にはいかない

産もう

身重の身で長旅も出来ないので岡山にとどまり
岡山で出産
タダと名付けた女の子

天からタダで授かった子だからという理由だそうです。
何だかすごいです。

タダちゃんが何とか歩けるようになって
郷里の長崎を目指す。

長崎で
長崎で、さらに深めるため
ポンペ、ボードマン、マンスフェルトからも学びます。
オランダ語は、あの大村益次郎から学んで
話せるようになっています。

その後、日蘭修好通商条約の締結を期に、
永久追放を解かれ
来日したシーボルトとも再開

時代は明治に変わります。

東京へ
イネは東京へ行きます。
そして築地で産科医を開業するのです。
この開業には、シーボルトの息子たち(シーボルトも向こうで再婚しています)
の支援を受けたようです。

日本の産婦人科の発展に大きく貢献しています。

明治6年には、明治天皇の権典侍・葉室光子さんが天皇の子を懐妊したというので
イネが召し出されています。
福澤諭吉の推薦らしいです。
宮中の医師として、出産を見届けています。
残念ながら、死産だったようなんですけど。

楠本高子
タダちゃん
ちょっといくらなんでも、その名前は可哀想なんじゃないの
と、伊達宗城に言われ
高子に改名しています。

さすがにシーボルトの娘ですね
有名な名前がバンバン出てきます。

高子ちゃん
クォーターになりますので
これまた可愛い。

松本零士が銀河鉄道999のメーテルのモデルにしたと言っているくらいです。
これが、高子ちゃんです。

次回は、またシーボルトの弟子の楢林宗建を紹介しますね

索引はこちら
[江戸の理系力]シリーズはこちら(少し下げてね)

楠本イネ、壮絶なる人生」への2件のフィードバック

    • コメントありがとうごさいます。
      とても嬉しいです

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