[百人一首]18 住の江の

住の江の 岸による波 よるさへや
夢の通ひ路 人めよくらむ

住の江の岸による波ではないけれど
あなたは昼だけでなく、夜の夢の中ですら
人目を気にして会いに来てくれないのね

藤原敏行朝臣
能書家として極めて有名

あの空海と並び称せられるというから、よほどです。

もちろん、歌人としても有名ではありますが
書家としても引っ張りだこです。

特に多いのが、お経を書き移す仕事
いわゆる写経

みみずののたくったような字のお経を読むより
これは見事!という字で書かれたお経の方が
徳が積めるというもの

でも、写経は自分でやるから意味があるんじゃないの?
まあまあ、それはそれ

人に請われるがままに
せっせと写経を繰り返しておりました。

宇治拾遺物語にこんなエピソード

あるときに
閻魔大王に呼ばれてしまいます。

これは一体

使者に聞くと

お前に写経を頼んだ人たちから
多くの訴えが出ておってな
本来、写経で彼らは極楽に行ける筈。

写経している間
お前は、女の事ばかり考え、時に女に触れておったろう
そのようなやましい写経で彼らは極楽に行けない。
あいつを呼んでくれと
寿命よりは早いが、今回、お沙汰を受けることになった
と、こういう訳だ

逆恨みも甚だしい。
頼まれたから、写経してやっただけではないか


待てよ

言われてみると
身に覚えはある
とってもある

な、何とか、な、何とか

必死にすがる姿に、使者もかわいそうになってきた。

こう言うが良かろう
金光明経、四巻を写経供養します、とな

閻魔様の前で
必死に訴える

金光明経、四巻がまだ写経供養できておりません。
これを成し遂げて、罪を贖いとうございます。

おお、そのような殊勝な事を考えておったとは
娑婆に帰って、願を遂げるが良かろう

娑婆に帰ることが出来た、敏行

生き返ったらこっちのもん
せっせせっと、女性への懸想文を書きましたとさ

鑑賞
この歌は、女性目線で読まれたものです。

「住の江の 岸に寄る波」の部分ですが
住の江とは大阪は住吉大社の近くの海岸
歌枕です。
夜(よる)を導き出すための序、ということになります。
ただ、全く意味がないかと言われると
その寄せては返す波が、女性の気持ちの揺れを想像させるので
イメージ作りに一役買っているということです。

当時は、夢に出てきてくれれば思ってくれていると信じられていたので
何故?
という女ごころを見事に表現している歌です。

やはり女ごころは良く分かっておられるようです。

この分では、閻魔様に再開したとき
どうなったでしょうかね。

大変人気の高い歌なんですが
人気の理由はリズムにあります。
やゆよが響き合う、百人一首でもトップクラスの調べです。

索引はこちら
[百人一首]シリーズはこちら(少し下げてね)


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