[百人一首]19 難波潟 超美人、伊勢の人生は

難波潟 みじかき芦の ふしの間も
逢はでこの世を 過ぐしてよとや

難波潟の短いふしの間ほどの、短い間の時間すら、会えないとおっしゃるの?
このままこの世を過ごしていけと

伊勢
伊勢は宇多天皇の奥さん中宮(藤原)温子に仕えていた

その美しさは群を抜き
それゆえに波瀾万丈の人生を歩みます。

温子のお兄さん、藤原仲平と良い仲に

お父さん、
困ったなあ
身分が違いすぎるよ

飛ぶ鳥を落としちゃっている、藤原基経の次男

遠回しに
やめた方が良いよ

案の定
仲平は良いとこのお嬢さんと結婚しちゃった。

ほら、言わんこっちゃない

当時の歌が今回の歌です。

中宮温子にもおいとまいただき、京も離れて傷心の人生

ここまでで終われば、ただお坊っちゃまに捨てられた可哀想な女の子の物語

でも、大方の女性はそんな弱くありませんね

泣き暮らす娘を見ていられないお父さん
中宮温子も理解してくれ
また、来てくれないかしら
うん、それが良いよ

京に戻ると元々備わっていた歌の才能が大きく開花します。

数々の歌合わせで連戦連勝
性格も良かったので、(美人だし)
伊勢ここにあり、と轟き渡ります。

さあ、そうなると

失敗したぁ、
と藤原仲平

また、文を送って来るのですが

ああら
どの顔してそのような

断固拒否
当たり前ですね

そのさらにお兄さんの藤原時平や
評判の高い平中という人とも浮き名を流します。

そしてびっくりするような事が起きます。

超大物から想いを寄せられる

その人は
宇多天皇

奥さんに仕えているのに、そらあかんでしょう

いけませんわ。

中宮温子はカンカンかと思いきや

良いんじゃない?

うっそー

天皇との間に子供までもうけちゃいます。

おそらくこの頃が人生のピーク

天皇は譲位し落飾
子供もすぐに亡くなってしまい
慕っていた温子も亡くなってしまう

「舟ながしたるここち」だったそう

もう坂道を転がるが如く
と思うでしょう

どっこい

宇多院の第四皇子、敦慶(あつよし)親王のプロポーズを受けた。

親王は25~6歳、伊勢は30過ぎ

中務(なかつかさ)という娘を産んだ
この娘は長生きし、伊勢の血を受け継いで、歌の才能を開花
親子揃って、三十六歌仙に選ばれています。

鑑賞
このあたり、大阪(難波)の歌が続くことになります。

ただ、「難波潟 みじかき芦の」は
ふしの間に続け、短いということを表すための序詞
難波の風景を歌ったわけではない。

とはいえ、序詞って全く意味が無いかと言われるとそういうものではなく
誰もが分かる有名な場所を選んで
この場合でいうと、難波潟の芦の殺伐とした雰囲気を、
読むものに思わせるという、イメージ作りの大きな役目を負う

藤原仲平の歌への返歌と言われている

会いたいわ、というような歌を送られた仲平が
今日はちょっとお腹が痛いから、的な見え透いた言い訳をしてきたのかも知れません。

本当は芦のふしの間は、それ程短くは無いんだけど
これもまた、イメージですね

すぐしてよとや、で
すぐしてよ、とや(言うおつもり)?
と途中で切って余韻を残している。

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