[百人一首]45 あはれとも~ あらまたご冗談

あはれとも いふべき人は 思ほえで
身のいたづらに なりぬべきかな

私のことを哀れだと言ってくれそうな人は、誰も思い浮かばないまま、
きっと私はむなしく死んでいくんだろうなあ。

謙徳公
謙徳公は藤原伊尹(これただ)の諡(おくりな)
右大臣藤原師輔(もろすけ)の長男、師輔の5男が兼家でその子が道長なので
道長からするとおじさんということになる。
娘が冷泉天皇の女御となり、花山天皇の母となったため、
晩年は摂政・太政大臣にまで昇進しました。
自邸が一条にあったので「一条摂政」と呼ばれます。
和歌所の別当として、当時の和歌の名手を集めた梨壺の五人
(清原元輔・紀時文・大中臣能宣・源順・坂上望城)を率いて、
後撰集の選定に関わりました。
才色兼備の貴公子、もてもてプレイボーイです。

鑑賞
そんな、順風満帆の人生を送った藤原伊尹があれれ?です
この歌はどうしたことでしょう。

ひとつひとつ見ていきましょう。
あはれとも→かわいそうにと
いふべき人は→言ってくれそうな人は
思ほえで→思いつきません、そのまま
 ここ、現代人には分かりにくいですね
 広く一般も指していますし、特定の彼女も指しています。
身のいたづらになりぬべきかな→死んでしまうんだろうなあ
 いたづらは、今のいたずらっ子のいたずらではなく
 無駄になる、無になる。身のいたづらなので、死ぬってことです。
 それも哀れな死に方。
 なりぬ、だからなっちゃうんだろうなあ

想いを寄せるあなたにつれなくされて
想い焦がれて私は死んじゃいそうです。
それでも、あなたを始めとして、誰も見向きもしないでしょうね

まあ、めめしい歌でございます。

男のくせしてこういう歌を作るのは
当時、流行りとは言わないまでもそこそこあったようです。

ただ、藤原伊尹だとすると、違和感ありすぎです。
まあ、そこを狙っているとしか思えません。

本当に不運な人が、女性に振られてこんな歌を歌おうもんなら、
病院を紹介されます。
笑えません。

そうです。
冗談の歌です。
あなたがそういうこと言いますか。ご冗談を、と言って欲しかった。

私はものすごく良く分かります。
風邪ひいたりすると
ああ、死にそう。
絶対死ぬわ、死ぬ死ぬ、
とうるさく言ってしまうタイプの人間です。

もし、そのタイプの人間ですとお分かりでしょうが
大丈夫?と言ってくれるのは、一回目だけです。

次からは、
何回死ぬ死ぬ言ってんの
もう生き返ってこなくて良いから
と言われ

さらに数年たつと
そもそも何を言おうが、完全無視になります。

でも、とても正しい対応です。

実は、言っているほど大したことはない

さあ、これ返歌もらえたんでしょうか
何回目かによりますね

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