[名僧]空海。憧れの唐で。

[名僧]空海。ありがちな青春時代のそのあとに。
の続きです。

最澄だけが、遣唐使で唐に行っちゃったところでしたね

あれ変だなあ
最澄と空海、同じ遣唐使で唐に渡ったんじゃなかったの?

そうなんです。

当時の日本製の船はかなり技術レベルが低いので
唐まで行ければもうけもん的確率
案の定、最澄の船は漂流し、九州は太宰府に流れつきます。
四艘、500人の大船団だったが
最澄以外の船も全て失敗、各地に流れ着いた。

ほとんどみんなが京都に戻る中
最澄だけは太宰府に留まり、再挑戦への準備

そんな中、再挑戦は来年の7月と決定されます。

最澄は気合いを入れ直しますが
辞退者続出
みんな漂流して死と隣り合わせでしたからね。

追加募集!

大きく定員割れしているので
前回よりは選定基準が甘くなりそうです。

空海
よっしゃあ

もう、意地張っている場合じゃありません。
もう一度時間をもらえたわけです。
最低条件の僧の試験の合格。
主張を一旦押さえ、7月までに合格しようじゃないですか。

東大寺で試験に合格

20年間唐に滞在しないといけない「留学生(るがくせい)」として
遣唐使にも採用されました。

20年間も唐にいるつもりはさらさらありませんでしたが
まあ、行けさえすれば何とかなるっしょ

出発
出発して2日目に早くも漂流を始めます。
4艘はバラバラに

空海の船は34日間も漂流します。
8月10日、予定地よりかなり南の、福州長渓県の赤岸鎮に流れつきます。
日本じゃなく唐に流れ着いた。

最澄はというと
さらに長く50日間も漂流し、
9月1日、予定地よりかなり北の、明州の寧波に流れ着いた

あとの2艘は、1艘は日本に流れ着き、もう1艘は沈没。

でもせっかく唐に流れ着いた空海の船
上陸許可が下りません。
こっちはエライさん誰も乗っていませんので。

こっちでは判断できないから、あっちへ向かえ
次はあっちへ向かえとたらい回し。

流れついてから既に二ヶ月が経過。
あきらめかけたけど、
ダメモトで唐側へお願い文を書いてみようということになった。
メンバーの中で一番下っぱではありますが
中国語の読み書きが一番出来るのは空海
空海が書いて、唐側に渡してみた。

唐側は、その文書を見て驚いた。
単に目的だけが書かれた、事務的文書じゃなかったんです。

韻を踏み、古代の有名な漢詩のフレーズも引用しつつ
とてもきれいな文章
それでいて、これまでの経緯や目的、日本の代表として来ていること
唐を誉めつつ、上陸を許可することによって得られる利得が
理路整然と、しかも分かりやすく書いてある。

これが本当に外国人の書いた文章なのか

扱いがガラリと変わった。

さあ、長安へ
本来の目的は長安に行かないと達成できません。

元々遠いのに、
流れ着いた場所からは、気が遠くなるほど遠い。
中国って広いですからね。
乗り物は馬、馬車、時には船、そして徒歩。
2400kmを昼夜兼行で過酷な旅を続ける

50日かけて12月23日、ようやく到着
唐に流れついてから既に半年が経過しています。

ところで最澄ですが、最澄は長安へは向かわず
天台山へ向かっています。
最澄の一番の目的は天台宗の習得ですから

何かこの足取りを見ると、最澄ずるい、とか思っちゃいますが
目的が違いますから、ずるくはないです。

長安で
遣唐使一行は、唐の皇帝とも接見でき、外交目的を果たせてやれやれ。
もちろん、仏教の習得も、経典も収集できたりして、まずまず。
さあ、帰りましょう。

空海は20年いないといけない留学生。
みんなとはお別れです。
元気でねー。

空海は、さあこれから。
長安は当時にして既に人口100万の国際的大都市
空海は、西明寺に寝泊まりすることになります。
西明寺は、インドはサンスクリット語の各種経典を、
中国語に翻訳する作業を大々的に行っています。
空海の最大の目的はサンスクリット語の習得ですから、願ったり叶ったり。

空海は以前提出した文書の一件で
一部の人には知られた存在になっていて
わざわざ空海を訪ねて来る人もいたりします。
元々中国語は得意ですので、様々な人と交流を持っていきます。

そんな中で、醴泉寺の般若三蔵というインドの僧と仲良くなります。
そして、般若三蔵から「恵果(けいか)」という名前を聞きます。
恵果は、インド密教を唐に伝えた不空の一番弟子で、その教えを今に伝えているという
密教の最高峰
長安の東の端、青龍寺にいます。

密教は、一旦未発達のまま日本に伝わるが
本場インドで二つの経路で体系付けられ完成を見る

ひとつは、金剛頂経(こんごうちょうぎょう)と言われるお経に基づくもので
不空は大日経による密教の正統な継承者で、その一番弟子が恵果

もうひとつは、空海も日本でほぼ原書に近いものを手に入れた「大日経」
善無畏(ぜんむい)という人が体系付けたが、その弟子から
恵果はこちらも完全習得

両方を完全に習得できているのは
インド、中国を通じても恵果しかいません。

早速会いに、と思いきや

いや、恵果大先生に失礼がないよう
サンスクリット語でちょっとしたやり取りが出来るようにしてからだ。

せっかく、インドの僧、般若三蔵と仲良くなりましたからね。

さらに半年後の5月末
萬を持して恵果の元へ

そこで、思いもよらぬ対応を受けることになります。

続きはシリーズの次回ね

索引はこちら
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