栄西。禅その心は?

名僧シリーズ

法然のあと、親鸞、一遍と浄土系の僧を続けて来ましたが
時代で言うと、法然とほぼ近い時期に、栄西がいます。

栄西、そのあと、道元と禅宗系の僧に入っていきましょう。

栄西
永治元年(1141)年、備中(岡山県)に産まれます。
法然よりちょっとだけあとです。

とっても面白いのですが、神職の家です。
普通にしていれば、神主さんになっていたのかも。

幼少の頃から聡明利発で、8歳で色んなお経を読破
11歳で地元のお寺で出家
19歳でいよいよ比叡山へ
出世コースです。

比叡山天台宗ってほんとにすごいですね。
ほとんどの名僧はこのコースを一度は辿ります。

とは言え、最澄の時より大分経っています。
貴族の政争の具として、腐敗堕落をしています。

だから、この時期以降に、ぼこぼこっと新しい宗派が生まれていく訳です。

中国へ
頭の切れる人は、自分の所属している組織が不甲斐ないと
耐えられなくて、何とかしたくなるもんです。

よしっ、本場中国へ行って勉強し直しだ。

遣唐使が廃止されてから
それほど中国との交流はなされなくなり
良く言うと日本独自の路線が進み
悪く言うと、中国の最新の情報からは遅れ気味

中国は宋の時代に入っておりました。
27歳で南宋へ

中国の天台宗を積極的に見て回ります。
天台宗の密教も極めた栄西は、帰国後、「葉上流」というグループを形成し大活躍。
天台宗の復興に大きく貢献します。


とは言え、頭の中にずっと引っ掛かっていることがあります。

中国には、天台宗を習い直しに行ったので、天台宗を中心に情報収集して回った訳ですが
その時、中国で流行りの仏教があった。

禅宗系の各宗派です。

ああ、気になる。
今の日本に必要なのはひょっとして、そっちではあるまいか。

天台宗で確固たる地位を築いている栄西
今更そんなこと考えなくても良いし、要求もされていません。

でもなあ
やっぱり、自分に嘘はつけない

47歳にして、再び南宋へ
今度は、禅です。

新人駆け出しの栄西と申します。
よろしくお願いしまーす。

今までの地位も知識も全部無関係
禅宗系の臨済宗(りんざいしゅう)を訪れ、全くの一からです。

心と体に禅を叩き込み帰国

日本に禅の大革命
といきたいところなんですが
あんまり喧嘩したくタイプの性格

良く言えば気遣い
悪く言えば日和見

目一杯気を使いながらそろりそろり。

でも、天台宗からすると裏切り者
えらい弾圧を受けます。
とうとう、禅宗禁止の宣下が下されます。

せっかくすごい気を使ってたのにね
追われるように博多へ
博多で、聖福寺(しょうふくじ)という日本で初めての禅宗のお寺

手を差しのべてくれたのは北条政子
鎌倉へおいでなさい。

源頼朝が亡くなり、弔うために寿福寺を建立し、そこへ招いたのです。

でも政子さん、禅って説明を受けても良く分かりません。

良いわ。何だか分からないから、密教の呪術で何とかして。

元々、密教の専門家ですからね。
我慢我慢。
はい、お安い御用でございます。

二代将軍、頼家に守られて
いよいよ京都に進出。
建仁寺を立てます。

さあ、京都に禅宗(臨済宗)なんだけど
建仁寺を天台宗、真言宗、禅宗の三宗兼学の寺とします。

痛々しいほどの気の使いよう。

後に他宗から、権力におもねた腰抜け、的言われ方をするんですが
結果的に、そのお陰で、日本に禅宗が広まっていった訳です。


考えてみれば、それまでそんなに禅が広まっていなかった方が不思議に思います。

お釈迦様のイメージって、菩提樹の下で、座禅(瞑想)

その後の禅を深めた達磨大師(だるまたいし)なんて
あんまりずっと座っていたもんで、手足が腐ってなくなっちゃいました。

オリエンタルな宗教や健康法って大体共通して、ヨガがベースになっていて
呼吸法を伴っている。

仏教って、哲学や科学の要素を含んでいるけど
最も科学的な要素が、禅や呼吸法だと思う。

健康法も随分色々見たけど
自律神経を自分で意識してコントロール出来るのは呼吸だけ

悟りという表現は使うけど
目指しているのは、自分の心と体を自分でコントロールする出来るようにする
そこじゃないかな。

禅宗って、栄西の臨済宗、
次にお話しようと思っている道元の曹洞宗
江戸時代に伝わった黄檗宗(おうばくしゅう)とあります。

道元のところでもう少しお話ししようと思っていますが
臨済宗の特徴は、考える座禅

男とは

飲むことよ

みたいな問答ですね

お茶
あと、栄西で有名なのは、お茶の種を中国から持ち帰って栽培し
日本にお茶を普及させたこと。

栄西がいなければ

おーい、お茶
なんて、言えなかった訳ですね
(言ったことないけど)

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