道元。ただ座って空っぽになる

名僧シリーズ

道元
道元は、正知2(1200)年、京都に産まれる
父は内大臣源道親(みちちか)、母は藤原氏という名門中の名門
ただ、3歳にして父を亡くし、8歳にして母を亡くす。
13歳にして出家。

天台宗の比叡山延暦寺。
当時の主流だった天台本覚思想に触れる。
天台本覚思想では、全ての人々は本来成仏していると説く

はて?
じゃあなぜ修行するんだろう。

とても素朴でストレートな疑問が沸き起こる。

そんな質問みんなにされそうだけど
先輩型に聞いてみて納得できる回答が返ってこなかった。

ここは、私のいるべきところなんだろうか。
下山を決意。
16歳の時、禅宗の臨済宗の栄西の門を叩きます。

残念ながら、栄西自身は超多忙。
替わりに、弟子の明全(みょうぜん)が色々教えてくれる事になります。

2年して、栄西は亡くなってしまうので
ずっと明全こそが師匠、って感じです。

宋へ
栄西がそうしたように、道元も、明全とともに宋へ

禅宗は中国でも宗派が分かれています。
栄西は臨済宗に師事したので臨済宗

その弟子明全と一緒に行っている訳ですから、臨済宗のところへ向かったと思いきや、曹洞宗
不思議です。
考えられるとすれば、何らかの理由
(説明になってませんね)

中国の臨済宗と曹洞宗が同じように違うかは分かりませんが
少なくとも日本の臨済宗と曹洞宗は、同じ座禅でありながら結構違います。

座禅をしている間に何をするか
臨済宗では、禅問答といって考える事をする
生きるとは、みたいなすぐに答えの出ない大きなテーマ

逆に曹洞宗は考えず、無になる
只管打坐(しかんたざ)といって、ただ座る

正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)
道元と言えば、正法眼蔵
1231年から1253年まで生涯をかけて著した87巻(=75巻+12巻)に及ぶ大著

今までの法然、親鸞、栄西が書いた本は漢文で書かれていたけど
正法眼蔵は日本語で書かれている。

哲学書として考えた場合
世界的な名だたる哲学者とも肩を並べられるほどのものらしい。

読んだ訳じゃないので、あてずっぽうではありますが
只管打坐ってくらいだから
どうシンプルに、無駄なものを捨て去って生きるかという
引き算の哲学なんでしょうか

曹洞宗
曹洞宗と言えば、私は以前に行った座禅体験を思い出す。

大久保と新宿の間にある、曹洞宗の長光寺というお寺

初めての人にもとても丁寧に座禅の仕方を教えてくれます。
結局は3回しか行かなかったけど、良かったなあ。

棒でピシッ、は
あれが嫌、っていう人と、
せっかくの座禅なんだからあれをお願いします、っていう人に
大きく分かれるらしい。

だから希望制
回って来た気配を感じたときに、ある動作をすると、ピシッとやってくれる。
私は当然やってもらいました。
思ったより痛いし、
静まりかえった中ですごい音がするのでビビっちゃいますけどね。

座禅ももちろん良いんだけど、
そのあとの住職さんの法話がものすごい良かった。

今思えば、正法眼蔵からの話だったのかも。

一番印象に残っているのは、
境目って無いんですよ、って話

自分とそれ以外の境目ってどこですか、という質問
例えば、肌のほれここ、って答えるけど
本当にそうでしょうか、と。

境目を決めているのは、自分の「考え」の中だけであって
境目はない、って思っちゃえば無くなるんです。

心とか命とかいう物理的に存在しないものも自分の構成要素
それって、ほんとに肌の端っこまでぴったり満ちていて、
その外には溢れ出していないんだろうか

もし、自分とそれ以外に境目がないと考えられるなら
いきなり、自分は宇宙と一体化するとてつもなく大きな存在になる
相手とか他人とかいう概念も意味をなくしてしまい。
自分の中にある「我こそは」なんて馬鹿馬鹿しいし
人との比較なんて、よく考えると
えーっと何のためにそんな事をしてるんだっけ

座禅って、ただ座って無になることで
自分で勝手に決めていた、境目なるものを溶かしていく作業なのかも知れない。

自分なりに、道元の最初の疑問の答を考えてみました。

仏って宇宙そのもの、と言ったりします。
としたら、成仏って、自分の周りに勝手に引いた境目を取り外すこと。

本当は、境目なんてものは誰一人ないから
「全ての人々は本来成仏している」
なのに、境目はあると思いつつ生きている
だから、自分の中でのその間違いを正すために修行が必要。
その方法論は座禅じゃなくっても良いんだろう。

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