[江戸城] 石垣を考える。の続き

[江戸城] 石垣を考える
の続きです。


積み方の話をしました。
次なる見所は、角

角に独特の積み方として「算木積み」があります


長方形の石を交互に積んでいくことで、重さが分散され、格段に強度が増します。

一番下の石は地面に突き刺すように斜めに置きますが
一番上は、水平にしないと建物が建てられません
完全に直方体ではなく110度くらい上下に開いた石を用意して積む

そして、カーブを持たせる事で自分の重さで沈んでいくときに
より、ガシッと自分達で食い込み、強度を増すようにする。

結果として芸術品と言える美しい石垣が出来上がる訳です。

だんだんノウハウとして積み上がっていったものなので
算木積みがどの程度きっちり出来ているかでおおよその時代が分かります。
江戸城は長い間をかけて継ぎ足されていったので
完成度の違う色んな算木積みが見れます。

最終完成型が天守台
天守台は、明暦の大火の後で、万治2(1659)年に作り直したものなので一番最後
加賀藩が威信をかけて全精力を注ぎ込んで完成させたもの

ちなみに、表面に出ている石のもうひとつ中側がどうなっているかというと
小石が詰まっています。
小石と小石の間に隙間があることで、排水が良くなり
振動も吸収されて、石垣が崩れるのを助けます。

表面加工
江戸城の石垣に特徴的なのが、表面の加工
表面がつぶつぶしています。

今まで、石垣って、防衛上の事だったり、強度の問題で話を進めてきましたが
この表面加工はどうにも不思議
はっきり言って何の役にも立ちません。

じゃあ、何のためにこんな風になっているのか。

勝手な推測ですが、こんなことがあったんじゃないかな

石垣職人の権兵衛
半年の約束で石垣を積むのを請け負っています。

もうベテランで慣れているから作業はさっさと進みます。
この調子だと、早めに終わりそうです。

ある日、何を思ったか、のみでトントン
おおっ、なんか綺麗なんちゃう?

それを見ていた、隣で作業していた、六右衛門

な、何しょんねん

ごめん、見つかった?
綺麗かな、思うて

綺麗がな
でも勝手にそんなことして良いんかよ
分かった、そっちが目立ってばれんように
こっちも同じようにしょう
おおっ。綺麗綺麗

見回りに来たお偉いさん

こらあ、何じゃこりゃあ
誰やこんなことしたの

しーん

むっちゃかっこいいやないか
褒美を取らそう。

はい、はい、私です。

そうなってくると、エスカレートしていきます。
天下普請、即ち色んな藩で分担して作業しています。

なんか向こうの藩ですごいもん作ってるぞ
こっちも負けとれん
縦筋でどうだっ

ポツポツタイプはノミはつり
縦筋タイプはすだれはつりと言います。

さらには、積んだ石垣の角っこを、大根の面取りのように若干丸みを持たせる
これによって見る角度に寄って石の表情が変わる
言われなきゃ分からないんだけどね
江戸切りと言います。

もう、石垣本来の機能とは、100%関係ございません。

やっぱり平和って良いなあ
芸術って平和から生まれます

真剣に戦をするための城だったら、どやされますね。

どあほ、ちゃんと仕事せい

[江戸の文化]シリーズはこちら(少し下げてね)

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