[大岡越前] 通貨政策。両替商とのバトル。

[大岡越前] 産業振興などの本格対応
の続きになります。

江戸時代って、日本の中に二つの国があるが如し。
江戸と大阪
通貨が違うんです。

江戸は金が通貨で、大阪は銀が通貨
その二つが貿易している感じで、為替レートが存在し
日々相場で変わる。

両替屋が相場によって、手数料を取りつつ、金と銀を交換する。
びっくりぽんの世界です。
ずっと不思議だったんですよ
今の両替って1000円札を100円玉10個に換えるだけですよね
両替屋ってどこで儲かっているんだろう、って

ずっと、商品は大阪にだけ溢れていたから
手に入れるため、銀が欲しい、銀が欲しい。
構造的に、金安状態が続いていました。

以前は金1両で銀60匁(もんめ)
でも金1両で銀40匁にまでなっちゃっていた。

大岡越前は、金と銀の交換レートに介入しようとします

両替商に対して、金1両を銀60匁にしなさい。

両替商は猛反発
抗議の意味を込めて、一斉休業
両替商は大阪に本店がある店が多いので、大阪の銀が強いままの方が良いという事情もある

全部の銀行がお休みになったのと同じなので、経済は大混乱

大岡越前は、
分かったよ。じゃあ、55匁でどう?

アホか
そういう問題じゃないの
相場に任せなきゃダメなの
と、休業を続けます。

参りました。降参します。
大岡越前が大きく挫折した場面です。

貨幣改鋳
時代は少し遡り、5代将軍綱吉の頃
幕府の財政が悪化していった。

取った対策が、お金を作り替えよう作戦

本来は、例えば金貨を溶かして金にした場合、1両分の価値があるとすると、1両
でも、金の量を半分にすると
材料代は半分なのに、1両って書いてあれば1両
大儲けです。

卑怯な手ではありますが
財政は一旦回復

代が変わって第六代の家宣
参謀は新井白石
卑怯な事が大嫌いな白石
ダメでしょ、と元に戻した。

吉宗はその路線を踏襲します。

一枚岩だった筈の吉宗と大岡越前
この件に関しては、意見が分かれます。

上様、現実を見てください
正しいことだけで、やっていける状態にありません。

お金を作り替えよう作戦第二弾
今度は、別の意図も加味します。

金貨と銀貨、両方作り替えるんですが
金貨内の金を60%に、銀貨内の銀を58%にする
要は落とし具合を銀の方が大きくする

理屈で行くと、これで銀は弱くなる。

ところがこれもうまく行かず、結果、銀の方が強くなった。
おそらく、意図が分かった両替商たちが、一致団結して操作した可能性が高い。

再び敗北の大岡越前
ただ今回は強く出た

交換レートは相場に任せるべきっていうのが
君たちの主張だった筈
言っていることとやっていることが違うんじゃないのかい?

説明せよと呼び出したが、出頭拒否

両替商の手代たちを牢に入れてしまう。

まさかそこまでするとは思わなかった両替商たちはうろたえるが
こっちもあとには引けない
またまた、一斉休業作戦で対抗

今度は大岡越前も一歩も引かない。

膠着状態が2ヶ月も続く
さあ、どっちがおれたか

何と、大岡越前が寺社奉行に栄転になってしまう。
町奉行は交替
新しい町奉行と両替商たちが和解
手代たちは解放
一斉休業も復活。

大岡越前としても栄転な訳だから
両者WinWinなのかも知れません。

おそらく、両替商たちは、やりにくい大岡越前を外すべく働きかけたでしょうが
栄転という方向に持っていったのは、
仕事としては嫌な相手であっても
人間対人間として、一目置いていたのかとも思う。

肝心の交換レートですが
次第に落ち着いて、60匁で安定する

[人物]シリーズはこちら(少し下げてね)

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