[首相]11-2 高橋是清。そんなに言うならちょっとだけ

[首相]11 高橋是清。経済はだるまさんに任せましょう。
の続きです。

高橋是清

前半生は失敗だらけでした。
しかも、それ自分が悪いんでしょう、というのも多々
そこで学んだ事が貴重だった。

勘を得られた。
これ以上は危ない、て勘
経済を実務で切り盛りするために一番重要な事。

欲を捨てると言うこと。
結局欲なんて、邪魔ばかりで、何の良いことも持ってきてくれなかった。
そんなもん要らん

そう思ったとたんにどんどん良い風に回り出した。

日本銀行
日本銀行に入った高橋は、どんどん成果をあげていく。
副総裁にまでかけあがった

日露戦争が始まり、喉から手が出るほど金が欲しい

金を工面してくれ

分かりました。
日本では無理ですが、アメリカで集めましょう。

アメリカの企業家たちも、どっちを勝ち馬と考えるかというと普通はロシア。
奴隷としてアメリカで苦労しながら培った英語力が役立った。
粘り強く駆け回り、8億円もの金を集めた。

お陰で、日露戦争勝利

こうなると、手のひらを返したよう。
今まで失敗ばかりを繰り返す高橋に信頼ゼロだったのに
日銀総裁の辞任を受けて
次は高橋しかいないっ

大蔵大臣
山本権兵衛内閣が始まります。

高橋さん、大蔵大臣お願いできませんか。
それから、政友会への入党も

大蔵大臣?
政友会って、それ何ですの

山本権兵衛内閣は基盤が弱いため、第一党の全面協力を仰ぐため
ほぼ全員の大臣を政友会から出すと約束している

欲は邪魔なだけ、と強く反省していることに加え
もともと政治には全く興味がない。

でも、生まれついての性格「頼まれると嫌とは言えない」の方が勝っちゃった。

どうしてもなんですか?
じゃあちょっとだけ。

原敬内閣でも、大蔵大臣を頼まれる

事件が起きる。
原敬が暗殺されちゃった。
原敬は政友会の総裁でもある
これは一大事

あのですねえ
政友会の次の総裁なんですけど
お願いできませんでしょうか

はあ?
私、入ったばかりで政友会の事なんにも分からないです。
そもそも、政党ってどういうものかも分かってないですから。

それはそうかも知れませんが
そこを曲げていただいて。

ええぇ
まあ、そんなに言うのなら、ちょっとだけ。

ありがとうございます。大変助かります。
ところで、政友会の総裁をやるとなると
自動的に「首相」っていうのも付いてくるんです。

えええええっ!

首相
政治家ってほぼ全員ゆくゆくは首相になりたいと思っているはず
首相になった暁にはこうやってああやって

それがない天然記念物のような存在

みんなに良いように引っ掻き回されて
正直首相としての実績があるとは言い難い。

そろそろ良いですか、と退陣

これで終わりそうですね
まあ、首相も経験して良い冥土の土産が出来ました、と

高橋是清の場合は、これからが長かった。

何人かの首相を経て、田中義一内閣

あのう、大蔵大臣をですね。お願いしたいなと。

普通は、首相経験者に大蔵大臣は頼まないです。失礼です。
どうにもこのだるまさん。頼んで失礼という雰囲気を出さない。

すでに72歳だったんだけど
そんなに言うのなら、ちょっとだけ。

首相の時も大蔵大臣を兼ねていたので、4度目の就任

なぜ、高橋に頼んだかというと、日本経済が絶体絶命のピンチだったから

国策銀行の台湾銀行が破綻。
国民が、こりゃ自分達が預けている銀行も危ないんじゃないか、と
金を引き出すためにそれぞれの銀行に行列をなした。
全員に引き出される前提の金はないので、このまま広まると
連鎖的に破綻してしまう。

落ち着いて!落ち着いて!

全国47行がたまらず休業
でもそれは、うち危ないです、って言っているようなものなので
休業明けにはみんなが押し寄せるでしょう。

高橋は議会の許可も得ず、天皇の命令として2日間のモラトリアム(支払猶予令)を発令
そして、その間に、大急ぎで紙幣を印刷。
銀行の外から見える場所に、札束をどーんと積み上げさせた。

でもここだけの話ですが
大急ぎなので、片側しか印刷していない
裏は真っ白。
国家的詐欺ではあります。
ともかくも騒ぎは収まり、助かった。

当然誰かは気づいていたでしょう。
だるまさんのやったこと。まあ目くじら立てなくても、って感じがあるのよね。

じゃあもう良いかな。
事態の収束を見極めて、44日間で大蔵大臣を辞職。

ようやく、ゆっくり引退生活。

77歳の時

ピンポーン

はーい、どなた様?

犬養毅です。

なんだよ、お前か。今度、首相らしいじゃないか。どうした改まって。

実はお願いがあって。

げっ、嫌な予感。

結局、犬養毅内閣、斎藤実内閣、岡田啓介内閣
計7度の大蔵大臣
どんだけ嫌とは言えないの

犬養毅暗殺の5.15事件以来、どんどん不穏な雰囲気が漂うようになります。

陸軍の増大化に、高橋是清は徹底して抵抗。

側近たちは、大蔵大臣の部屋をボタンひとつで中から施錠できるようにした
高橋は、
いまさらどうのこうのしても始まらん。

その日
雪の日でした。
2月26日。

陸軍内での派閥抗争から、若手将校たちが暴走します。
同時に、岡田啓介首相を始めとして、主要大臣の暗殺計画

ザッザッザッ

赤坂の高橋是清邸

天誅!

・・・

即死で最後の言葉も無かったそうです。
81歳。

岡田啓介首相は難を逃れ、鈴木貫太郎侍従長は重傷
斎藤実内大臣は即死です。

[歴史]シリーズはこちら(少し下げてね)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です