[首相]23-2 近衛文麿。ヒトラーに扮する

[首相]23 近衛文麿。信じがたい事ですが
の続きです。

誕生
明治24年10月12日、東京市麹町区の屋敷で、篤麿と正室衍子(さわこ)の元に生まれる
藤原鎌足から46代目、近衛家の創始者基実から29代目
近衛忠煕(ただひろ)は孝明天皇の関白ですが
その時、83歳で健在
庭に5匹の亀がいるのを見て、文麿と命名
なぜ、5匹の亀が文麿なのかは、難しいので割愛

ところが、母衍子は産後の肥立ちが悪く、8日後に亡くなってしまいます。
1年後に喪があけると、父篤麿は、片親では可哀想と
衍子の妹貞子と再婚します。
もちろん、一般庶民ではありませんので
母が育てる訳ではなく奥の老女が育てます

文麿は、産みのお母さんは貞子でないと大人になるまで知らされておらず
知ったときには、ショックで人間不信に陥ったと言います。

20歳になったとき、天皇から杯を賜り、従五位に叙されることになりました。
ところが、宮中に参内すべきところを拒否します。
天皇に対する反感が、このあとの「わが闘争」に大きく影響を与えていきます。

英米本位の平和主義を排す
大正7年12月、第一次大戦がほぼ終結した頃
「英米本位の平和主義を排す」という論文を「日本及び日本人」という雑誌に発表します。

英米は第一次世界大戦を、専制主義・軍国主義に対する民主主義・人道主義の戦いだ、と位置付けているが
既に、英米が植民地でその利益を独占している状態での主張であり
現状維持の方が都合が良い極めて自分本位の主張である

言っている事は正論
それが故に、そうだそうだと共感を呼び
近衛の人気をあげることになる

その直後、近衛は西園寺公望を全権とする日本代表団の随員として
パリ講和会議に行くとともに、10ヶ月にわたる欧米視察旅行に出る
そこで学んだのが「プロパガンダ」という手法
特定の思想へ誘導していくための方法論です。

昭和8年、41歳になった近衛は貴族院議長に就任します。
この頃から「先手論」を主張し出します。
常に軍人の先手を打って、革新の実を行う
表面上は「政治主導」だが、実際には、軍を煽っていく結果になる

着々と、プロパガンダの準備と実践をはかり
新聞、雑誌、ラジオを通じて貴公子近衛文麿の人気をあげていく。


昭和11年、2.26事件勃発
責任を取る形で、岡田啓介首相が辞任
いよいよ人気者近衛文麿に、天皇から組閣の大命が下ります。

でもここでは、「是非とも」とまで言われた天皇からの大命を
健康上の理由で断っています。
近衛家だから許される行為
おそらく、近衛としては、このタイミングではなかった。
2.26のあとでは、陸軍内の派閥抗争に巻き込まれてしまう。

1年後ある写真が新聞に掲載され物議をかもします
近衛の次女温子と、熊本藩主の孫の細川護貞の結婚前夜の祝賀パーティー
ちなみに、細川護貞の息子が細川護煕です。
仮装パーティーが行われました。
近衛が扮したのは、ヒトラーだった

その後を知っている我々からすると、全くあり得ない事だが
当時はまだ、ヒトラーは英雄だった
英雄だとしても、独裁者ではあり、そのヒトラーに憧れている近衛は
やはり同じ道を歩みたかったのだと思われる

革命へ
林銑十郎内閣が自滅したあとの、昭和12年6月
いよいよ機が熟したと考えたのでしょうか
今度は大命を受け、首相となります。

このあと、日中戦争勃発から、日本軍による南進、
真珠湾攻撃の50日前まで
まさに戦前の激動期に政治の中枢を担います。
第一次内閣は、昭和12年6月から昭和14年1月まで
第二次第三次内閣は、昭和15年7月から昭和16年10月まで
通算で、3年弱

第一次内閣と第二次内閣の間の1年半は、枢密院議長でした。

前回、近衛は日本を全体主義国家にし
自分がそのトップに座りたかった、と言いました。
林千勝さんの「近衛文麿-野望と挫折-」の中で展開されている説に一旦乗っかるものとします。

話をややこしくしないため
敢えて、アメリカと負けるための戦争をしたと書きました
アメリカの手によって、天皇制を潰して欲しかった。
林千勝さんによると、それはメジャーシナリオと呼んでいます。

近衛の頭の中にはもうひとつのマイナーシナリオなるものがあった。
共産主義革命を起こす。
ソ連の協力を得て、自分がそのトップに立つ

メジャーシナリオがうまく行きそうになければ
マイナーシナリオに切り替える

そんな無茶苦茶な、真逆じゃない
と思いますが
全体主義と言えばどちらとも全体主義

何の政治的主張はなく、自分だけのためだったのかと思うととても悲しい。

なぜ、マイナーシナリオがあったと考えられるかというと
内閣の中枢に、共産主義者を登用した事

風見章という共産主義者を内閣の要、書記官長に起用
その繋がりで、尾崎秀実等の共産主義者と繋がる
朝日新聞とも繋がり、プロパガンダを強化していく
プロパガンダには、共産主義の手法も組み合わせるのが効果的

続きはシリーズの次回ね

[首相]シリーズはこちら(少し下げてね)

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