[首相]23-4 近衛文麿。全ては闇の中

[首相]23 近衛文麿。信じがたい事ですが。
[首相]23-2 近衛文麿。ヒトラーに扮する
[首相]23-3 近衛文麿。一旦引いて証拠づくり
の続きです。

自らのシナリオ完成へ向けて、一旦引きましたが
その間、平沼騏一郎、阿部信行、米内光政と短命内閣が3代続きました。
ある意味、シナリオ通り
日中戦争はグダグダで解決の糸口がつかめず
アメリカとの関係は悪化の一途を辿ります。

シナリオとは、負ける前提でアメリカと戦争をし
アメリカの力で天皇制を潰してもらう
変わりに日本国のトップに自分が独裁者として君臨する

近衛文麿待望論が持ち上がります。
シナリオを進めるためには、引き受けるべきですが
戦争で負けた責任は取りたくない。
陸軍の暴走を止めたかったが止められなかった、というイメージを作る
戦争責任を一手に引き受けてもらう人を作り出し
いよいよ、開戦となると、その直前で首相を譲る
微妙な駆引きをしながら、の政治になります。

日独伊三国同盟
米内光政が徹底して抵抗した、日独伊三国同盟を締結すること
積極派の松岡洋佑を外務大臣とし、突き進んでいく。

松岡は外相就任直後に三国同盟締結に障害となる親米英派の大使、公使など
40名を更迭するという空前の人事異動を実施

松岡の理論は、力には力を
三国同盟を結べば、アメリカは戦争を回避したいと思うだろう
その上で、交渉を有利に進めよう。

そんなことをすればアメリカとの戦争はほぼ確実
それで日本は勝てるのかというシミュレーションが行われました。

当然ここで、単純にああ無理だ、となるはず
ところが
日本とアメリカの国力を比較するとそうかも知れないけど
「大東亜共栄圏」と名をつけたアジア全体でよってたかれば勝てる

そこ、日本じゃないですけど

そもそも日中戦争がグダグダなのに
中国が、大東亜共栄圏の一員として日本の都合良く協力してくれると考える方がおかしい

特に決定的なのがほぼ全面的にアメリカからの輸入に頼っている石油
ストップされれば一巻の終わり
解決方法は石油が出るフランス領インドシナに進駐し、大東亜共栄圏として日本陣営に組み入れる

仮定の話ばかり

案の定、この進駐がアメリカを完璧に怒らせ
対日石油の輸出が完全ストップ

近衛文麿は頭が良いので、大東亜共栄圏構想に実現性が無いことなんて分かっている
戦争をして負けること、自分に戦争責任が問われない事だけが目的
「あの時自分はずっと反対してたんですよ」と言えれば良い

必要な作戦は、はしご外し作戦
散々松岡に立ち回らせたあげく
自分は開戦回避論なので松岡とは意見が合わないと
内閣を総辞職
松岡を外して第三次内閣

それでも、決定的に責任を追わせたいターゲットは留任させます。
陸軍大臣、東条英機です。

御前会議で、アメリカとの外交交渉が最優先
何ともしがたいときは、開戦という優先順位が決まっていました。

でも、ここまでという期限が迫ってきました。
このままでは、開戦になってしまいます。

再度、御前会議で、交渉期限を延長すると決めなければなりません。

その大事な会議で、東条英機は強く開戦を主張します。

近衛文麿の思うツボ

結果としては、東条の主張は入れられず、交渉期限を1ヶ月半伸ばすことに決定

東条はしょんぼり。

近衛のシナリオは全て整いました。
ここで、東条と意見が合わない
東条を切るため、内閣総辞職

今度は改造内閣を作るつもりはさらさらありません。
もうまもなく開戦
その時の首相になっている訳にはいきません。

裏で、内大臣木戸幸一に
次の首相は東条英機が適任だと、推薦します。

今の暴走する陸軍を押さえられるのは東条しかいない、と

木戸はその通りとなぜか納得
天皇にその旨伝えます。

「虎穴にいらずんば虎児を得ず」だね、と
これまたなぜか納得

荷物をまとめて田舎に帰ろうとしていた東条に
大命が下ったとの報せ

びっくりした東条は
あくまでも交渉最優先という天皇の方針を素直に守り
当初は、アメリカとの交渉に奔走
でも、ここまで来ているとどうにもなりませんでした。

まんまと近衛文麿の作戦にはまり
一手に戦争責任を追うことになります。

敗戦
近衛としては、あとは見ていれば良い

そして、敗戦濃厚になります。

次なる一手です。
天皇を潰す事です。

さすがに直接は言いませんが、
天皇は、責任を取って自決すべきだとの論を展開

それも難しそうだとなると
今度は寺を見つけてきて、用意周到に準備
ここで、出家なさい、と

天皇制をアメリカに壊してもらい
親米政権を自分が打ち立てる

あれほど、自分は戦争反対だったという演技を続けた
大丈夫なはず

終戦直後こそ、少しうまく行きそうな感じもあったんだけど
アメリカもバカじゃない

やっぱり、東京裁判に呼ばれてしまいます。

服毒自殺
いよいよ、明日出頭だという日
青酸カリを飲んで自殺

ということになっています。

何を言いたいかというと、この自殺どうにも不自然

無実の主張の証拠書類を山ほど準備
そんな人が自殺するだろうか

自殺しては困るからと
数人が、寝ずの番をし、襖を隔てた隣の部屋で
息を殺していたはずなのに
その人たちは口を揃えて、物音ひとつしなかったと言っている

青酸カリで死ぬにはかなり悶絶するはずで
静かに死ぬなんて不可能

自殺の根拠となっている遺書は
筆跡鑑定もしないまま、GHQに没収されて行くえ知れずです。

いずれにしても、このブログで書いたシナリオも含め
全ては闇の中になってしまいました。

[歴史]シリーズはこちら(少し下げてね)

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