[首相]23 近衛文麿。信じがたい事ですが。

首相シリーズ
太平洋戦争に至る前段階の日中戦争を始めた人、近衛文麿(このえふみまろ)

近衛文麿 -野望と挫折-という本を読みました。

かなり衝撃的で、にわかに信じがたいことがいっぱい
ただ、そうだとすれば合点がいくということが多い

一旦、本の著者、林千勝の取材と洞察を信じることにして
何回かに渡り、衝撃的な内容をお話ししていくことにしましょう

近衛家(このえけ)
もうすぐ結論的な部分をお話しするとして、その前にこの不思議な考えを近衛文麿が持つに至った背景をお話ししないといけません。

近衛文麿は、名前で分かる通り近衛家です。
近衛家と言えば五摂家(近衛家・鷹司家・九条家・二条家・一条家)の筆頭。
大化の改新以来の、藤原氏の中心であり、天皇家の次、日本におけるナンバーツーの家柄です。
この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば
の歌を詠んだ、藤原道長の系譜です

江戸時代の幕末に多大なる影響力を有していた、近衛忠煕は
近衛文麿のおじいちゃんということになります。

明治時代から昭和の戦前までほとんどの人が
天皇に対して絶対服従の考え方をしているのに対して
自分は道長の子孫だと強く思っている近衛文麿は
天皇がなんぼのもんじゃいと思っていました。

当時の日本で、そんな考えをもちえるのは
近衛家の当主だけだった。
そんな特殊な人材だったということから話を始めないといけません。

結論
あくまでも、林千勝さんの説だと断っておきましょう。
ただ、実に緻密な取材をしておられるということも付け加えておきます。

日本がなぜ余りに無謀なアメリカとの戦争に突入したのか
私はこれがずっと不思議でたまりませんでした。
広く言われているのは、陸軍の暴走。
それを止めることが出来なかった。
でも、ずっと引っ掛かっていたんです。

本当だろうか
陸軍がどう思おうが、一般国民は止められない訳がない
でも、5.15や2.26を勉強していくなかで
かなり国民が軍を後押ししている事も分かりました。
単純に陸軍だけじゃなく、むしろ国民が、ということがありそうだ
でも、それにしても不思議だ
自然に国民の総意がそちらに向かうだろうか
何らかの力と言うか操作というようなものがあったのではないか。

それが、近衛文麿だった
近衛文麿が意図して、日本をアメリカとの戦争に導いていった。
近衛文麿は軍とは関係無い
陸軍は暴走なんてしていない
むしろ、近衛文麿に利用された。
そして、国民も近衛文麿に操作された。
マスコミと通じることによって、国民を誘導していった。

さらに、衝撃的なのだけど
なぜ、アメリカと戦争をしたかったかというと
負けるため
アメリカに完敗するのが目的
そんなバカな、と思うけど
近衛文麿だけはそこにメリットがある

国体を変えることです。
天皇制の廃止です。

藤原氏、平清盛、源頼朝、足利尊氏、徳川家康、どんなに実質的支配者が現れても
日本の歴史上誰一人、天皇にとって変わろうとしなかった。
本気でやろうとすれば出来たでしょう。
でもしなかった。それが日本の歴史の、世界に例を見ない特殊性

そんなとんでもないことをやる方法はひとつしかない。
アメリカに完敗して、アメリカに天皇制を潰してもらうことです。
近衛家ならば、天皇家にとって変わることが可能だと考えた。

近衛文麿は日本をどういう国にしようと考えたのか
全体主義国家です。
当時の英雄、ヒトラーに憧れた。
日本を全体主義国家に変えて、自分がその頂点たる独裁者になる

次回からそのシナリオの過程をどういうふうに実現しようとしたかお話ししていきますが
うまくマスコミを使い、
この非常事態を乗りきるためには、国民が一致団結する必要があるとして
各政党を自主的に解散させて、大政翼賛会に一本化していく

ただ、負けるのが目的であれば、沈む船を自分が舵取りしてはならない
日中戦争は自分が始めたが、太平洋戦争については、自分は強く反対したと証拠づくり
責任を押しつける相手を東條英機と定め、東條にさっさと首相を譲る
負けたあとに、戦犯に問われないことが重要

結果的に言うと、戦後若干シナリオ通りになりかけたものの
アメリカは馬鹿ではない。
結局は戦犯に問われてしまう。
天皇家も象徴として存続
そして、近衛文麿は巣鴨の拘置所に行く前日に自殺

大筋はこういうこと

もうひとつのシナリオを用意していたり
色んな衝撃的な事はあるのだけど
それは、このあと、シリーズの次回以降にお話ししていきます。

いっぱい反論はあるでしょう。
私も全てを信じている訳ではありません。
でも、こう考えると色んな事に合点がいく
一部の上層部は負けるのが分かっていて突入したとしか思えない。
大政翼賛会の存在
東條英機にバトンタッチしたタイミング
近衛家の特殊性

でも、信じたくないと思っている自分もあります。
あまりにも稚拙で個人的妄想のために
日本は悲惨な一億総玉砕への道を突き進んだのか
負けるための戦争だなんて、国民を愚弄するにもほどがある。
アメリカにとってみれば、近衛家なんて、何の価値もない
アメリカが自分を担いでくれるなんて、なんで思ったのか

まずは、総論だけ

[首相]シリーズはこちら(少し下げてね)

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