これでよしなに。冷えもんが通ります

「粋な日本語はカネに勝る」という、落語家さんの書いた本を前回紹介しました。
今回も、そこで紹介されたエピソードを紹介しましょう

これでよしなに
悪代官に商人がすりより、菓子の箱を差し出す

これでよしなに

底にはびっしりと小判が敷き詰めてある

おぬしもなかなか悪よのう

時代劇でのお決まりのパターンですね

せんべい
なんとそのままの煎餅を貰ったというのです。

煎餅の名前が「これでよしなに」

箱を開けると開運招来の慶長小判のレプリカ
その下に小判型の煎餅が5枚

添えてある能書きが粋

お礼心に笑いをつめてそっと差し出す慶長小判

この一行の言葉、だいぶ練りに練ったんじゃないかな

用途として
お中元お歳暮に、頼み事に、パーティーや開店祝いの記念品に
そしてトラブルのお詫びに

発売元は
大藤屋黒兵衛

歌舞伎座の売店や浅草仲見世の前田商店で売っているそうです。

もうひとつ
冷えもん
師匠の談志が銭湯好きなので
本人談四楼も暇を見つけては銭湯に出かけるそうです。

湯船で温まっている時
一人の老人が入ってきた。

洗い場にはそこそこ人がいて
その間をすり抜けながら

へい、冷えもんが通ります。

七十五、六、小柄で痩せて、背筋が伸びている。

冬場、表から来る人の体は冷えています。
皆さんがあったまっているところへ
こんな冷たい体を持ち込んでごめんなさいよ
ってことで
冷えもんが通ります。

ずっと昔はそう言うのが礼儀だったらしいですが
談四楼も耳にするのは初めてだったそうです。

見事です。
惚れます。
これ以上の粋があるでしょうか
いつか、こう言って様になる人間になってみたいと思います。

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